労働組合だから出来る。賃金・労働条件のアップ!

労働組合は、使用者と「対等平等」の立場に立つためにある

今の社会に住む大部分の人たちは、自立して生活していくために、会社(私たち医療従事者であれば病院や介護・福祉施設など)に就職して、給与(賃金)をもらっています。

こういう使用者(事業主)に雇われて、使用者の指揮命令下で、労働を行い、賃金を得ている人々を「(賃)労働者」と呼んでいます。

労働者は、使用者との間で、「雇用契約」を結んで、提示された賃金・労働条件等に合意していることが前提になっていますが、あらゆる労働条件を周知した上で入職する人はほとんどいないと思いますし、入ってみたら言われていたことと違っていた場合もあると思います。一般的な会社では、就業規則で労働条件が決められていて、労働者個人が会社との交渉によって、それを上回る労働条件を獲得できることはほぼありません。

労働組合は、一人ひとりでは弱い立場の労働者が集まって、「集団的労使関係」を通して、「労働条件」を向上させるための組織です。

日本国憲法で保障された労働三権(労働基本権)

日本国憲法第28条では、労働者の権利として、「団結権」「団体交渉権」「団体行動(ストライキ)権」の「労働三権」を定めています。

「団結権」=労働組合を作る権利。また労組に加入できる権利。

「団体交渉権」=使用者と交渉を行い、文書等での約束を取り交わす権利

「団体行動権」=争議権とも言う。ストライキ(同盟罷業)=みんなで仕事をしないことで、使用者に損害を与え、交渉を労働組合の有利に運ばせるためです。

正式なストライキによる行為は、刑事や民事免責が認められます。ストによる「損害賠償」を使用者が求めることは出来ません。

※「正式なストライキ」と認められないものは、ストライキ権投票で「組合員全員の過半数の賛成が得られていない場合」だとか、公益事業等(運輸、郵便・電気通信、水道・電気・ガス、医療・公衆衛生)の場合に、「争議行為予告」の届け出を所定官庁に行って、10日以上が経過していない場合のストライキ実施などです。

労働者を守り、活動を保証する法律「労働三法」

労働者を守る法律は、さまざまありますが、基本となるのは、「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」の3つです。これらをまとめて「労働三法」と呼んでいます。

「労働基準法」=使用者が最低限守るべき、労働時間や賃金の支払い、休日等を定めている。

「労働組合法」=労働組合を作り、使用者と交渉や「労働協約」を結ぶことを保障している。

「労働関係調整法」=労働者と使用者の間で、争いごとになり、当事者同士での解決が難しい場合に、第三者が入り、解決するための手続きを定めている。

「労働基準法」第1条2項では、「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その工場を図るように努めなければならない」としています。

つまり、使用者が「労働基準法は下回っていないから良い」とか、「労働基準法に違反しない範囲まで労働条件を引き下げる」というようなことはできなく、労使交渉は少しでも「労働条件を向上させる」ことが前提だということです。春闘の回答書で「現行通り」としか回答しないような使用者は、「労働基準法第1条」に違反しています。少なくとも回答の理由や努力経過も示されないようであれば、それは「不誠実団交」です。

 団体交渉で、労働条件向上を勝ち取ろう!