私たちの大切な参政権 きちんと行使しよう!
今年7月の参議院選挙は、これからの日本の行く末を左右する極めて重要な選挙です。24年秋の解散・総選挙では与党が過半数割れとなり、野党の声も一定取り入れざるを得なくなってきました。しかし野党も政策の違いが目立ってきたり、SNSなどでの情報拡散によって新興勢力が勃興するなど、これまでにない政党や団体も出てきています。現在、国民の約半数しか投票していない国政選挙、争点をしっかりと見極めて、投票しましょう。
今回選挙の争点は?
物価・賃金引上に対応する診療報酬制度・財政支援を
全国の多くの医療機関が、物価高騰によるコスト増に苦しめられています。
ベースアップ評価料が新設されたものの、思うように引き上げられない賃金(年間一時金での調整がなされる等)実態があります。今のままで、経営が立ち行かなくなれば、必要とする地域住民に医療・介護を提供できなくなってしまうだけでなく、医療・介護従事者の生活も壊れてしまうと多くの医療関係団体、関係者の危機感が拡がっています。
いまでも医療や介護で働く労働者の賃金は、全産業平均より低い実態にあります(グラフ参照)。今度の選挙で、物価・人件費の高騰にしっかりと対応していく診療報酬制度への改善や社会保障に対する財政支援を実現していきましょう。
農水予算3割削減で、食料自給率も3割減少に
世間では「コメ不足」によるコメ価格の暴騰に国民が悲鳴を上げ、政府は「備蓄米」の放出を決定しました。しかし、「入札備蓄米」での放出では思うように値段が下がらず、農相を差し替えて、随意契約による備蓄米放出に切り替えて、値段を下げていくという方向に
舵を切りました。
結果としては値段の下がってきた備蓄米を市場に放出したことで、石破政権の支持率も若干、上向いているようですが、そもそも今回の米不足をもたらした根本原因には、農業切り捨ての政策があります。食料自給率は1990年代に入って大幅に下落し、現在38%にまで落ち込んでいます。
農水省予算も1990年代から漸減し、25年度予算で2.3兆円弱にまで下がる一方で、防衛費(軍事費)は、約8.5兆円と1980年代には農水省予算が防衛費より高かったものがこの30年間で防衛費が農水省予算の3.7倍となるなど、大きく逆転しています。
国の安全保障は、防衛だけではありません。輸入がストップし、食べるものがなくなれば、すぐに国民は飢えてしまいます。医療・社会保障予算もそうですが、手厚くするべき部分を間違っているのではないでしょうか。

余剰病床11万床削減で1兆円医療費を削減?
自民・公明与党と日本維新の会は、6月6日の社会保障改革に関する実務者会議で、全国の医療機関の余剰病床11万床を27年度までに削減し、医療費1兆円を抑えることで合意しました。併せて維新の会は、国民医療費を年間4兆円削減して、現役世代の社会保険料負担を6万円下げるよう求めており、3党合意文書にも反映されています。
余剰病床とされる11万床削減で、想定通りの医療費が削減されるのかどうか、疑問にする識者も多くありません。そもそも新型コロナのパンデミックで、余裕のある病床とそれに対応できるだけの人員体制こそが必要との教訓が明らかになったはずです。一定のバッファーを持った病床・機能や人員体制を確保するために何が必要か、こそ医療提供体制の根幹に据えていくべきではないでしょうか。