全厚労加盟組織の定期大会やブロック会議で、地域医療を守り、安心して働き続けられる職場をつくるための議論が進んでいます。秋厚労、福厚労の定期大会と西日本ブロック会議では、賃上げや労働条件改善の成果を確かめるとともに、深刻な人手不足や病院機能の見直しに伴う課題を共有しました。
秋厚労 第79回定期大会
賃上げと制度改善の成果を次の要求へ

秋厚労は9月26日、秋田温泉「さとみ」にて第79回定期大会を開催しました。
進藤侑中央執行委員長は、厚生連病院を存続させて地域医療を守ること、労働環境を改善すること、組合への参加と協力を広げることを柱に、1年間の活動を振り返りました。全厚労や県医労連とも連携し、署名や自治体・国への要請を通じて医療現場の実態を訴えてきたことが報告されました。
運動の成果として、定期昇給に加えて月額1万1000円のベースアップ、年度末手当一律10万円、夜勤手当1勤務500円の引き上げなどを報告。初任給の改善では、中堅・ベテラン職員の賃金を下げずに若年層の処遇を引き上げたことが強調されました。物価高に苦しむ生活を支え、採用と定着につなげるための前進です。
休暇制度では、採用時の年次有給休暇10日付与と時間単位の取得が実現しました。新入職員も体調不良時などに休みやすくなり、育児や家庭の事情に合わせた取得の選択肢も広がります。また、休憩時間の実態をアンケートで把握し、休憩を取れなかった場合の時間外手当申請につなげ、身近な困り事を組合全体の要求にする意義が示されました。
秋田ならではの要求も成果につながりました。熊の出没に伴う子どもの送迎などへの対応では、団体交渉を通じ、当日の遅刻・早退・中抜けを給与控除なしとする扱いを確認。安全と暮らしを守るうえでも、職場の声を届けることの大切さが報告されました。
一方、慢性的な人手不足や夜勤負担、休暇の取りにくさは依然として大きな課題です。看護改善委員会の報告では、夜勤専従を経験した組合員が睡眠不足などの負担を伝えました。働き方を変える際には、本人の希望だけでなく、健康への影響や勤務条件を確かめ、安心して働ける仕組みを整える必要があります。
要求を話し合うグループ討議では、人員確保を最優先に、夏季休暇の拡充、転勤の早期打診と生活支援、サービス残業の是正、福利厚生の改善など、多くの意見が出されました。職場や職種によって制度の利用しやすさが異なることも踏まえ、要求の内容を具体的に検討しました。人事考課については、評価の公平性や賃金への影響を心配する声が上がりました。
女性部や青年部などからは、学習・交流企画、平和活動、新入組合員を迎える取り組みが報告されました。5月の新入組合員の学習・交流企画には84人が参加し、仲間とのつながりを広げました。2026年度方針では、住民とのつながりや署名活動、行政への働きかけを強め、厚生連病院と地域医療を守ることを確認し採択されました。新年度役員を選出して、団結を呼びかける声とともに大会を締めくくりました。
福厚労 第79回定期大会

診療所移行への不安と人員不足を訴える
福厚労は10月3日、磐梯熱海温泉「華の湯」で第79回定期大会を開催しました。大友浩介中央執行委員長は、高田の無床診療所移行と鹿島の有床診療所への移行予定が告げられたことを振り返り、「福厚労にとっては大きな変革の1年だった」と述べました。地域医療の提供体制と職員の働き方が変わるなか、現場の不安に向き合う大会となりました。
来賓の福島県医労連佐藤啓子書記長は報酬制度改定を産別運動の成果としつつ、不十分な条件の改善へ、さらに運動を進める必要性を訴えました。運動総括と方針提案で佐々木崇書記長は、賃上げがあっても実質賃金増えていないと指摘。次世代の役員育成に向け、若い組合員の意見を積極的に取り入れ、活動を後押しする方針を示しました。
各分会からは、新人が独り立ちして夜勤を担うことの難しさ、夜勤負担が改善しない実態、家計負担と業務負荷の増大など、切実な発言が相次ぎました。職員の努力だけでは支えきれず、現場は限界に近づいているとの訴えもありました。人間関係の悪化やハラスメントの問題も出され、人員不足への対応と職場環境の改善を一体で進める必要性が浮き彫りになりました。
診療所移行をめぐっては、高田での異動への不安、鹿島での人員削減への懸念が示されました。とりわけ、今後の雇用、処遇がどうなるのか、十分に示されていない部分への心配が語られました。医療体制の変更が職員の生活と働き方に及ぼす影響を明らかにし、安心して働き続けられる条件を確保することが課題です。
大友委員長は、看護学校の縮小などで人員確保が厳しく、地域医療構想の影響が地方を直撃していると指摘。人間関係の悪化が離職を加速させるとして、ハラスメント対策を急ぎ、増員要求をさらに進める考えを示しました。大会は議案を全会一致で採択。大友委員長を再任し、今年度専従となった風間顕成氏を新書記長に選出して、新たな執行体制を確立しました。
2026年度 第1回西日本ブロック会議
経験を持ち寄り秋闘の交渉力に
西日本ブロックは10月2日、岡山市内で2026年度第1回会議を開催しました。松田純一ブロック代表は、賃上げにつながる財源を今後も確保するため、国・自治体・経営者対策を強めるよう呼びかけました。畠輝義全厚労中央執行委員長は、省庁や国会議員、関係団体への働きかけを新体制でも継続・拡大する方針を表明しました。
全厚労報告では、組合員の生活と権利、厚生連の協同組合医療、平和と憲法を守る取り組みと、組織強化・仲間づくりを柱に、新年度方針を共有しました。賃金改善や夜勤負担の軽減に加え、公的支援の拡充、地域住民との連携、若手や女性役員の育成など専門部運動も進めます。
各県からは、秋闘・年末闘争に向けた要求づくりと交渉状況が報告されました。広島は定年延長の協議、山口はベースアップ評価料に関わる賃金改善要求、香川は年間一時金4カ月の確保に向けた年末2・3カ月の要求方針を報告。徳島からは看護職の処遇改善手当の基本給への組み込みなどの前進が報告され、大分は春闘での賃上げ実現へ交渉を継続していることを伝えました。
共通する課題として、人員不足と離職の深刻さが語られました。高知からは、手術室の看護師不足により、外来の日勤後に時間外の手術対応が生じるなど、過重労働の実態を報告。看護補助者の正職員化や賃金改善も課題に挙げられました。また、各県で事務職員、とりわけ若手の退職が問題となっており、その背景には低賃金、長時間労働、ハラスメントなどがあります。
会議では、各病院の来年度の募集人数と内定者数を集約することを確認しました。人手不足を具体的な数字で示し、自治体などへの医療政策の提言にも活かす考えです。現場の経験を持ち寄るだけでなく、共通の資料として整理することで、各県の交渉や地域への働きかけを支えます。2027年2月6〜7日には山口で春闘討論集会を開き、各県の取り組み報告と討論を行うことを確認しました。青年企画への財政支援やブロック資金の有効活用も協議しました。資金の使途案は各県で検討し、次回会議で話し合うことにしました。各地で得た成果と課題に県境を越えて共有し、職場の要求実現へつなげる取り組みが進んでいます。