Q&A
生理休暇を取ったら、皆勤手当が支給されませんでした!
生理休暇取得を事実上抑制する制度は認められません
生理休暇取得を理由に皆勤手当をカットするなど不利益な取り扱いをすることは直ちに違反とはならなくとも、取得の抑制につながり好ましくありません。厚労省の通達でも「著しい不利益を課すことは法の趣旨に照らして好ましくない」とされています。賞与や一時金の算定に関わる出勤率の計算にあたって生理休暇取得日を欠勤とみなし、減額するような取り扱いについても考慮されることが望ましいとされています。
最高裁判決では「労働協約等に定めがない限り無給」であることを前提としたうえで、「生理休暇の取得を著しく困難とし、労働基準法が女子労働者の保護を目的として生理休暇について特に規定を設けた主旨を失わせると認められるもの」については違反としており、生理休暇取得を事実上抑制する効果を持つ場合(たとえば精勤手当が高額)については違法になります。
労使交渉によって生理休暇の有給化や手当の支給を労働協約等に定めるのが一番の解決方法であることは言うまでもありません。
次の文章は正しいでしょうか?生理休暇は無給と決められている
× 労働協約または就業規則で定めれば有給にできます
労働基準法では生理休暇中の賃金の支払いに対して特別な制限を定めていません。従って、生理休暇中の労働者に対して賃金を支払うかどうかについては、それぞれの職場で定められる事になっています。
厚労省の通達でも「生理休暇日の賃金は労働契約、労働協約または就業規則で定めるところによって支給しても、しなくても差し支えない」とされており、労使交渉によって有給となれば支給できる事になります。
無給と定めている場合でも生理休暇に年次有給休暇を利用することは可能です。逆に「年休の範囲内で生理休暇を認める」といった規定は「請求があれば与えなければならない」生理休暇の制度に反するものであり無効です。年休を消化するか、無給のままとするかは労働者個々人の判断で行う事ができます。
次の文章は正しいでしょうか?生理休暇を申し出たところ、病院に受診し診断書をもらうように指示された
生理休暇は月何日まで取れるのでしょうか?
次の文章は正しいでしょうか?生理が重く辛いため、休暇を申し出た
次の文章は正しいでしょうか?半年以上続けて働いている人には有給休暇が10日以上ある
○
有給休暇とは労働者が人間らしく生きるために休日以外に権利として賃金をもらって休暇を取ることができる制度のことです。勤めてから半年以上の労働者に10日、以後1年ごとに表のように有給休暇を付与する事が決められています。有給休暇は正社員だけでなくパート労働者にも週の勤務日数に応じて付与しなければなりません。
有給休暇の日数は2年を超えると時効となります。その年と前年の未消化分を合わせて40日が法律上とれる有休日数です。
ヨーロッパ各国では、デンマークの最低5週間など、日本よりも長い有給休暇が認められており、権利として取ることが当たり前という考え方が定着しています。日本では有休消化率が50%以下となっており、取りやすい環境を作ることが必要になっています。
次の文章は正しいでしょうか?タイムカードを利用して労働時間管理をしている職場で、労働者がタイムカードを打ち忘れてしまった。就業規則にはその場合欠勤になると書かれていた。
× 欠勤にはなりません
法律は「実際はどうなのか?」を重視します。この場合、実際には8時間働いたのですから、タイムカードを打ち忘れたかにかかわらず、実際に労働した分について会社は賃金を支払わねばなりません。
「打ち忘れた場合は欠勤扱いにする」というように就業規則にあるならそのような規則は無効です。
使用者は労働者の労働時間を把握する義務があります。打刻忘れを理由に欠勤扱いにすることは許されず、むしろ使用者の管理怠惰を問われることになります。タイムカードの打刻忘れが多いなら、それを防止する措置を講じなければなりません。
タイムレコーダーの打刻忘れを理由に欠勤として扱うことは許されませんが、それをたびたび繰り返す労働者に対して制裁措置を取ることは可能です。例えば「何回繰り返した場合は減給処分にする」というものです。この場合も制裁に関する事項として就業規則に明記しなければなりません。
次の文章は正しいでしょうか? 小学校就学前の子供、または要介護状態にある人を介護する労働者は時間外労働の制限がある
○
今回は労働基準法ではなく、時間外労働の関連として育児・介護休業法からになります。
育児・介護休業法は、育児又は家族の介護を行う労働者の労働と家庭生活との両立が図られるよう支援することによって、その福祉を増進するとともに、あわせて社会の発展を目的としています。次世代育成支援を進めていく上でも大きな課題となっている育児や介護を行う労働者の仕事と家庭との両立をより一層推進するために、制定されました。
育児・介護休業法では「小学校就学前の子の養育又は要介護状態の家族の介護を行う労働者が請求したときは、事業主は、1か月について24時間、1年について150時間を超える時間外労働をさせることはできない」としています。これより長時間の時間外労働を協定していても、育児・介護休業法が優先します。
時間外労働の上限 | 1カ月間 | 1年間 |
36協定上の上限 一般の労働者 |
45時間 | 360時間 |
育児・介護休業法の上限 該当する労働者 |
24時間 | 150時間 |