知りたい情報のタイトルをクリックしてください。
次の状況は休憩時間として正しいでしょうか?(1)電話番のため電話の前にいた(2)疲れていたので仮眠室で眠る(3)食事をとりに病院の外へ出かけた

(1)×(2)○(3)○

休憩時間は労働者自身が自由にできるように与えなければならず、病院や管理者が休憩時間中の持ち場からの離脱や外出を禁じるなど、休憩の使い方に条件をつけることはできません。1)は電話番として拘束されているため、休憩時間にはなりません。別に休憩を与える必要があります。


次の文章の穴の開いた部分に入る数字はいくつでしょうか?
1)1日8時間を超える労働時間に対して時間外手当□□%が割増される。
2)夜10時から翌朝5時までの時間帯は夜間帯の手当として○○%が割増される。
3)休日(法定休日)の予定日に呼び出されて勤務した場合、△△%が割増される。

1)25
2)50
3)35

労働基準法37条では残業代の割増の最低基準が設定されており、1日8時間(1週間で40時間。法定内労働時間といいます)を超える労働時間に時間外25%、夜10時から翌日の朝5時までの夜間帯25%、週1回の休日(4週間で4日。法定休日といいます) 35%以上の割り増しをつける必要があります。夜間帯でかつ時間外の場合50%と累積します。
休日手当は後日代休をもらった場合でも受け取ることができますが、勤務に入る以前に休日を決めておく“振替休日”(就業規則に定められている場合可能で、基本的には代休のみ)の場合、休日手当はありません。
 なお、この規定は最低基準ですので就業規則等でより高い規定がある場合は就業規則に準じます。


次の状況は残業代をもらえるでしょうか?もらえると思うものに○をつけてください。
①制服(ナース服)への着替え等、就業前の準備
②昼食休憩中の電話やナースコールの対応
③就業時間後の看護(業務)記録の作成
④休日に行われた参加義務のある研修会への参加

答え:全て○

始業時刻から終業時刻までの拘束時間から休憩時間を除いた全ての時間を所定内労働時間といいます。
所定内就業時間外であっても、制服への着替え、始業前の情報収集、診療に使う機材の準備、終業後の看護記録や片付けの時間、参加が求められ、それを行わないと業務上支障をもたらす様なミーティングや研修なども労働時間に含まれます。
また、休憩時間は労働者が自由に利用できる時間でなければならず、いつ仕事を命じられるかもしれない状態は休憩時間に含まれません。実際に仕事が発生して休憩時間が中断された場合は別に休憩時間を与える必要があります。
労働時間が発生している以上、時間外であれば残業代として割増を含めて賃金が支払われなければなりません。


給料に「皆勤手当」があるのですが、有休を1日取った月に貰えませんでした。

× 不利益な取り扱いは禁止されています○

年次有給休暇(以下、有休)を取得した事を理由に賃金を減額したり、査定を低くするなどの不利益な取り扱いは「しないようにしなければならない」と労働基準法136条に定められています。
厚生労働省が1988年当時に出した通達ではその範囲について「年次有給休暇の取得を抑制する全ての不利益な扱い」が対象だとされています。有休取得を理由に、給料の精勤・皆勤手当を支給しなかったり、人事評価をマイナスにして賞与や昇給を削るようなことが禁止されています。労働基準法で定められた権利行使を妨げるような規定はできません。
裁判例でも、有休を不就労時間として稼働率を計算し、80%以下の者を賃上げ対象から外すのは公序良俗に反し無効としたものがあります。一方で労基法136条を使用者の努力義務ととらえて、皆勤手当の不支給を無効とまでは言えないとした裁判例もあります。不利益扱いが有休取得を事実上抑制する効果を持つかどうかが争われています。


今月末に退職を予定しています。有給休暇の残り日数が退職までの勤務日数を超えていました。消化しきれない分を買い取ってもらうことはできないのでしょうか?

○ ただし就業規則や労使合意によります

労働者が有給休暇(以下有休)を申し出た場合、与えないことは違法となります。使用者側は有休の取得日を他の日に変えてもらう「時季変更権」を有していますが、「事業の正常な運営を妨げられる場合」に限られています。
退職予定日が決まっており、時季変更権によって変更できる勤務日がない場合、結果的に有休の取得を拒否することになってしまうため、時季変更権は認められません。退職予定者が有休を申し出た場合、その全てを有休とすることが原則になります。
とはいっても引き継ぎなど必要な業務があり、全てを消化できないこともあります。その場合、たとえば退職予定日を変更して全日程を消化できる様にするなど、よく話し合って円満に退職できるようにしたいものです。
退職時に消化可能な有休を買い取ることは「有休の買い上げの予約をし、これにもとづいて有休日数を減らしたり、与えないことは労働基準法第39条に違反する」との行政通達もあることから認められていませんが、法定付与日数を超える日数の買い取りや残日数に応じて調整的な給付を行うことができます。この場合の金額や給付の範囲については法律の定めはなく、就業規則や労使の合意によります。
退職時の有休の買い取りは例外的なものであり、完全消化を目指すべきものです。日頃から有給休暇が消化できるよう、職場の改善に取り組んでいきましょう


職場が忙しくてなかなか有給休暇を消化できません。
せめて買い取ってもらうことはできないのでしょうか?

×

年次有給休暇(以下有休)は翌年繰り越せますが、2年たつと時効になってしまいます。毎年消化できずに捨ててしまっていると考えると、「せめて買い取ってもらいたい」という要望はよく分かります。
しかし、労働基準法は「有休を与えなければならない」としていますので金銭を支給しても有休を与えた事にはなりません。「有休の買い上げの予約をし、これにもとづいて有休の日数を減らしたり、与えないことは労働基準法第39条に違反する」という行政通達も出されています。
そもそも有休は心身の疲れをとり、リフレッシュするためのものです。有休の買い取りをするということは金銭によって労働者の貴重な休みを奪うものであり、たとえ労働者の同意があっても認められません。有休は完全に消化することを目指していくべきものです。
なお、就業規則等により法定付与日数(表)を超えて付与している日数がある場合、その日数分を上限に買い取りを行うことができます。

(表)有給休暇の法定付与日数

勤続年数 半年 1年半 2年半 3年半 4年半 5年半 6年半以上
週の所定労働時間
30時間以上
10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

1年間育児休業を取得し、現場復帰した勤務5年半の正職員の看護師さん。
この年に付与される有給休暇の日数は最低何日でしょうか?

18日

年次有給休暇は1年間のうち、全労働日の8割出勤していた場合勤続年数に応じた日数を与えることになっています。
業務上の負傷による怪我や疾病の療養、育児や介護による休業、産前産後休暇の場合は、出勤率が8割を切ってしまう事がありますが、これらの休業・休暇は年次有給休暇の計算のさいは出勤したものとすることが法律(労働基準法39条7項)に規定されています。
問題文の看護師さんは勤務4年半~5年半の1年間、育児休暇を取得して現場復帰された正職員の方ですので<表>から18日となります。前年度の残日数16日と合わせて34日あることになります。それ以前の分は時効の2年が経過しているので消滅しています。

勤続年数 半年 1年半 2年半 3年半 4年半 5年半 6年半以上
週の所定労働時間
30時間以上
10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日
30時間未満 週4日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
週3日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
週2日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日

保育所へ子どもを送るために1時間遅れて出勤したいのですが、遅刻になりますか?

有給休暇が利用できるようになりました

なかなか年休の取得率が上がらないことの対策として、4月1日から年休の時間単位での取得が認められることとなりました。導入するためには、協定を締結することが前提となります。労使協定では次の4つを定める必要があります。
① 対象になる労働者の範囲
「育児を行う労働者に限る」といった取得目的を制限するような取り決めはできません。
② 時間単位年休としてとれる日数
年5日が上限になります。前年度からの繰り越しがあっても5日が上限です。
③ 時間単位年休1日分の時間数
所定労働時間が1時間単位で割り切れない場合、1時間単位に繰り上げます。(1日7・5時間の場合、8時間分になる)
④ 取得できる時間の単位
基本は1時間単位ですが、たとえば1回2時間を単位にすることができます。
 労務管理が難しくなる関係から導入に慎重な企業も多いと予想されていますが、働く人の要望を十分に踏まえて働きやすい職場にしていきましょう。


次の文章は正しいでしょうか?
職員の誕生月に有給休暇を計画的に与えるよう労働組合と経営者で合意した

年次有給休暇の取得向上を目指して、計画的に有給休暇を取る制度が導入されています。この計画付与制度を行う場合、過半数の労働者で組織された労働組合又は労働者の代表と労使協定を結び、具体的な方法を定める必要があります。

労使協定で定める内容として病院全体または病棟など職場ごとの場合では具体的な付与日を、個人ごとのばあいは申請時期やその手順を決めておく必要があります。

計画的付与を行える年次有給休暇の日数は取得日数のうち5日を超える部分になります。たとえば年次有給休暇を20日もっている労働者は15日間までで、残りの5日は本人が自由に取得できるよう残しておかなくてはいけません。前年度に使いきれずにのこっていた有給休暇がある場合は繰り越された分も含めて、計画的付与することが可能です。

計画的付与では退職予定の方や育児・介護休業予定の方など特別の事情により計画年休が適当でない労働者については労使協定で除外することができます。


次の文章は正しいでしょうか?
朝に高熱があり仕事を休みました。後日その休みを有給休暇にしたいと申し出た

×

有給休暇に対して使用者は時季変更権がありますが、変更できる場合はごく限られていることは前回お話ししました。時季変更権は「(恒常的な人員不足を除いて)休む人の代わりが確保できるか」が判断基準になっています。
後日に欠勤だったものを有休に付け替える場合は時季の変更をする隙もなく、また当日の朝に有休を申し出た場合も代替要員の確保が難しいことから拒否できるとされています。
ただし、法律的に禁止されている訳ではありませんので、「有給休暇がなかなか取得できない中、急な病欠くらいは」と事情も勘案して処理する事は認められています。