確認しよう!賃金(給与)明細(上)

  6月に入り、新人の皆さんも少しは職場になれたでしょうか?4~6月は定期昇給やベースアップなど春闘の結果でも、月例賃金(労働者として給与でなく「賃金」と呼ぶことにします)が大きく変わる時期です。賃金明細も今は紙ではなく、電子的データに変わり、スマホやパソコンで見る時代になってきました。紙だとさっと見て捨てる人も多いかも知れませんが、手取り額だけでなく自分の「労働力」の対価として賃金の中身をいま一度、確認しましょう。特にこの時期の賃金は次号で解説する社会保険料に係わってくるので要注意です。

  ある県の賃金規定を参考に、勤続2年目の実際の看護師と、子育てで夜勤免除中の勤続14年目の看護師(35歳)を想定して5月の賃金明細書を作ってみました。比べると夜勤手当や割増賃金の占める額が大きいことが分かります。この県では若手に初任者調整手当もついています。残業や夜勤がなければ、手取り額もガクンと下がってしまいます。
  明細でまず確認したいのは「勤怠」部分です。多くは月末締めで計算されており、前月の夜勤日数や時間外労働が記載されています。時間外労働は申請した分になっている割増含めて計算し、各種手当の額は間違いないか就業規則(賃金規定)の内容を把握しておきましょう。分からないところは労働組合に確認してみましょう。
  賃金明細は大切な証拠です。自分が働いた労働時間はしっかりと請求し、キチンと翌月の賃金支給に含まれているかどうか、出勤簿(タイムカードのコピーなど)とも合わせ、ぜひ保存しておくことをオススメします。

基本給のベースアップが大事
  23春闘では、ベア(基本給の引き上げ)が注目の的でした。基本給や資格に関わる手当などは、時間外や深夜労働手当の算定に関わる「基礎賃金」となります。総支給額や手取り額では残業や夜勤をやる若手が多くても、基礎賃金では経験年数のある中堅・ベテラン職員が高くなります。
夜勤のある職場であっても育児や家庭の事情等で日勤しか出来ない人もいますし、オペ室・外来・訪問などの日勤主体の職場でも、ゆとりある生活ができる賃金と労働時間を確保するためには、どうしても大幅なベースアップが必要です。
  そのためにも診療報酬・介護報酬の引き上げが求められます。来年度は、医療・介護・障害福祉サービス報酬が改定される中、「報酬大幅引き上げ改定せよ」と現場からの声を上げることが大切です。

残業代を計算してみよう
  基礎賃金(一時間あたりの給与)は基本給+諸手当(※一部の手当は除外できる)を月の所定労働時間で割った金額となります。詳細は各県の労働組合で確認して下さい。また月の所定労働時間は、県によって違いますが、147~156時間程度です。
  計算した基礎賃金×残業時間×125%(割増率)=残業代になるか確認しましょう。なお深夜帯(22時~5時)に働いた場合にはさらに25%増しになります。各種控除については次号で解説します。