原水爆禁止世界大会はメイン開催を広島と長崎の隔年で開催しています。２０２３年のメイン会場は長崎。全厚労も現地とオンライン合わせて９県３６名で参加しました。
核抑止論者に問う
責任を負えますか？
長崎に先だって行われたヒロシマデー集会には１５００人（主催者発表）が参加、２０１７年にノーベル平和賞を受賞したＩＣＡＮ（核兵器廃絶国際キャンペーン）の授賞式で受賞講演を行ったカナダ在住のサーロー節子さんも参加し核廃絶を訴えました。
また同日行われた広島市の平和記念式典で、岸田文雄首相はあいさつの中で「核兵器のない世界」と言いながら核兵器禁止条約や核不拡散条約にすら触れませんでした。
一方で、松井一實市長は「平和宣言」の中で「核抑止論は破綻している」と述べ、日本政府に核兵器禁止条約の締結国となるよう要望。また湯崎英彦広島県知事は、あいさつの中で、「核抑止論者に問いたい。（中略）あなたは、万が一核抑止が破綻した場合、全人類の命、場合によっては地球上の全ての生命に対し、責任を負えるのですか。あなたは、世界で核戦争が起こったら、こんなことが起こるとは思わなかった、と肩をすくめるだけなのでしょうか」と訴えました。（写真：被爆体験と草の根運動を
呼びかける田中重光さん）
核抑止力が機能しない
場合があることは確実だ
長崎の開会総会では冒頭、大型の台風６号が９日から10日にかけて九州に接近すると予想される中、主催者から「参加者の安全を守ることを最優先に対応をしてください」と案内があり、大会日程を変更。９日の閉会総会を８日午後に行い、８日の分科会を全て午前中で終わるよう２日間に短縮されました。
開会総会には、世界の市民や政府代表、被爆者、反核平和団体の代表者らが集まりました。長崎市長の鈴木史朗さんはあいさつで、「核兵器のない世界の実現は、被爆地長崎の悲願であり使命」として、「被爆者の平均年齢が85歳を超え、被爆体験の風化が懸念される今、次の世代が核兵器や戦争をなくす声を大きくすることが重要。長崎市は平和を思うすべての人たちと手を携えていく」と訴えました。日本原水爆被害者団体協議会代表委員の田中重光さんは、自身の被爆体験から、「日本政府がやるべきことは、戦争被爆国として禁止条約を批准し核兵器のない世界へリーダーシップを発揮することです。核兵器は人類を滅亡させます」と草の根の運動を呼びかけました。オーストラリアのアレクサンダー・クメント大使は、「核抑止力の有効性は不確かですが、核抑止力が機能しない場合があることは確実です」とし、暗い状況を照らす希望の光となる禁止条約への参加の声を広げる運動にエールを送られました。
８日、台風の影響で飛行機や新幹線の運休が続々決まり、便の振替や日程変更し帰路につく準備をする人もいました。そのような中ではありますが午前中には11の分科会が開催され、午後２時からは閉会総会が開催されました。分科会と閉会総会にはオンライン合わせて４千３百人（主催者発表）が参加。国連の中満泉軍縮担当上級代表や、マレーシア国連代表部常駐代表のアハマド・ファイザル・ムハマド氏、東京都杉並区の岸本聡子区長のビデオメッセージが流されました。
みんなの平和を願う想い
無事に奉納しました
毎年３日目早朝に行っている折り鶴の奉納は、９日の台風接近で危険になったため、各県で空いた時間にそれぞれ奉納しました。長厚労・茨厚労・全厚労平和委員会は７日夜に、秋厚労は８日朝、広厚労は８日昼に無事奉納することができました。台風の影響で平和祈念式典の会場が平和公園から屋内の出島メッセ長崎に変更となり、例年式典で入ることができない平和公園の平和祈念像のすぐ手前まで行くことができました。 大型台風の影響で、忙しく大変な大会になりましたが、参加者からは、「今回、初めての参加でした。実際の被爆者の親族者のお話しが生々しく、涙がでました。戦争は何も生みません。心が荒むばかりです。この活動は大事に続けるべきと思いました」、「医療関係者というだけでなくて、社会人としてこのような機会に参加させていただき、とても人生で貴重な経験となりました。何となく仕事をして、生活してという生き方をしていましたが、日本国内や世界の問題に目を向けて耳もかたむけようと感じました。私たちより若い人たちが活動していることにも驚いたし、逆に年配の方々が多く、私たち青年から中年が頑張っていかないと、このままではこういう活動も途切れてしまうのではないかとも感じました。もっと私たちが活動に参加して、発言していき、世代交代をしていかないといけないと強く思いました。世界大会に参加でき、とても有意義な時間でした」などの感想をもらいました。（写真：左・秋厚労は朝一で奉納しました、右・広厚労は平和公園へ奉納）