23春闘は、物価高騰等で実質賃金が大きく下がる中、これまでになく大幅賃上げの実現が求められていました。5月8日にコロナが5類となり、経済活動が活発化する中で、どこの業界でも人材確保に向けて賃上げや処遇改善が最重点の課題になっています。

世間は「賃上げ」が当然のトレンド
連合発表の23春闘最終結果では、ベア・定昇合わせた平均賃上げ率は、3.58%(10,560円)で、1993年以来30年ぶりの上昇率となり、ベア獲得は要求提出組合の53.2%。一方、医療・介護分野では、日本医労連の集計で、ベアは要求提出組合比11.9%と、昨年とほぼ同じ水準に留まっています。
全厚労では、北海道と広島の2県でベアを獲得した他、手当を創設・増額し、前年比で月例賃金を引き上げた県も多くありました。これらの成果も、私たち労働組合が声を上げつづけてきたからに他なりません。
8月7日に出された人事院勧告は、極めて不十分ですが民間を反映して、若手を重点に賃上げが行われ、医療職(三)表(看護職)では最大14,000円、基本給が引き上がりました。人勧どおりの法改正がなされれば、公務員としての短大3年卒看護師は初任給が13,900円(地域によってはさらにプラス)引き上げられることになります。
もちろん民間企業では、労使交渉等によって賃金・労働条件が決定されますし、人勧全体では全体の改定率は0.9%に過ぎません。しかし、在職平均年齢が比較的若い看護・介護職の実態や今後の人材確保を考慮するならば、来年4月に予定されている診療報酬や介護報酬の改定でも、それに見合う以上の引き上げをしてもらわなければ民間医療機関は困ります。
政府の姿勢をチェンジ 国民の声を届けよう
しかし現在の岸田政権は「防衛費」倍増方針をいち早く打ち出しながら、今後の少子化対策予算や社会保障予算の増額には及び腰です。このコロナ禍の中で、国家税収は過去最高を計上しながら、子育て予算を社会保険料の増額や税金引き上げで対応しようとするなど、結局労働者負担を増やす逆効果の方向で進めようともしています。
全厚労はこれまで公的医療機関に対する財政支援や診療・介護報酬の大幅引き上げ、働き続けられる職場につながる法規制や診療報酬基準の仕組みなどを求めて、独自の国会議員要請行動や政府要請を強めてきました。
23年春は、衆議院の厚生労働委員に働きかけ、厚労政務官や主要政党の役員などとも懇談し、私たちの要請に対して与野党問わず前向きな対応を頂いています。この運動をさらに強くするには、働く現場の要望や切実な願いを、もっともっと集めて声にしていくことが大切です。9月には全厚労定期大会を開催し、新たな取り組みも提起する予定です。組合員のみなさん、これからも一緒に声を上げ続けましょう!
23年秋には、10月13~14日に横浜にて、「全厚労看護集会」(幹部・看護師集会から名称変更)を開催します。様々な業界の労働現場に詳しいジャーナリストの小林美希さんを迎えての講演と、集まった仲間との交流を深めます。多くの現場看護師の皆さんと組合役員の方々の参加も呼びかけます。