厚生連で働く人の要求はこれだ!! 全厚労24春闘アンケート結果(12,016名集約)

生活実感からの賃金不足額は平均月44,344円

 春闘真っ只中。全厚労加盟組織では大多数が賃金表書き換えによるベースアップ(以下ベア)を求めています。今年の診療報酬改定は6月実施で、労使交渉が長期戦になることが予想されます。粘り強く最後まで団結して頑張りましょう。

 

食費負担トップに

 組合員は大幅な賃上げを望んでいます。24春闘アンケートの「今の職場で特に不満に感じること(表1)」で最も票を集めたのが「賃金が安い」という項目でした。職員の賃金引き上げは、モチベーションアップはもちろん、職員の定着や離職防止、新入職員獲得につながります。「生活実感からの賃金の不足額」では、平均で4万4千円を超える結果となりました。

 日本銀行が発表した2月の企業物価指数の速報値は120・3となり、比較可能な1980年以降で過去最高でした。昨年から0・6パーセント上昇し、36カ月連続で前の年の同じ月を上回っています。特に「飲食料品」のコストが上がっていて、アンケートでも「生活で負担に感じるもの(表2)」では、昨年までの「住居費」を抑えて「食費」が最も多い回答となりました。他産業の賃金が大きく上がっていく中で、今年ベアを行わなければ、他産業に人手が流れ、地域医療や患者を守ることがますます困難になりかねません。

 

不払いにも程がある

 1カ月の「時間外労働」と「不払い残業」の平均値(図1・2)は、労働組合での学習や啓発運動や働き方改革の浸透もあり減少傾向となっています。しかし、医療・介護現場からは人手不足が深刻になっているという声が後を絶たず、現場は限界ギリギリで何とかふんばっている状況に変わりはありません。時間外労働の設問(表3)では82%の職員が時間外を行い、3・4%の人が月40時間を超えて残業、80時間以上残業する職員も残っています。不払い労働は1分でも法違反です。しかし2人に1人が「不払いがある」と回答しています。これは使用者側に責任がありますが、組合として働いた時間外は必ず請求するよう呼びかけ、会側へコンプライアンスのため自主的な調査や請求しやすい仕組みづくりを要求しましょう。組合員の生活を守るため、「組合員の声」である春闘アンケートを活用し、要求に確信を持ち交渉に臨みましょう。

 

診療報酬改定 ベアは賃金表の書き換えで!

 24春闘は「ベースアップ(以下ベア)」が主役です。ベアはその名の通り基礎部分の引き上げで、私たちであれば賃金表の書き換えです。厚生労働省が2月に日本医師会と共同開催したオンラインセミナー(※)でも、「ベアの考え方は賃金表の改定などにより賃金水準を引き上げること、賃金表の無い組織では手当でのひきあげ」と示しています。使用者はベアよりも恒常的ではない手当での支給を提案することもあると思いますが、不利益変更となり簡単には引き下げることのできないベアが、組合員をはじめとする職員が安心して働き続けるための土台となります。

※オンラインセミナーは厚労省HPにて動画で公開中

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00248.html

 今回の賃上げに係る診療報酬は、賞与や法定福利費等の事業主負担分を含めた「給与総額」を基に点数設計されていて、連動して引きあがる賞与分や事業主負

担の増額分も含まれています。もちろん定期昇給はベアには該当しません。ベースアップ評価料について現時点でわかっている範囲での詳細については全厚労ニ

ュース2月号4面をご参照ください。

 

24春闘でのベア獲得は

26改定引上げの条件

 今回の「ベースアップ評価料」は「看護職員の処遇改善評価料」と同じく、計画書と報告書を施設基準の届出書と合わせて、地方厚生(支)局へ提出が必要です。

 別途、抽出調査の実施等も予定されています。日本医師会の松本会長はベースアップ評価料について「着実に賃上げをした実績を示し、次回の改定でも持続的な賃上げができる原資を確保できるよう働きかけていきたい」と述べたのに対し、大企業などの健康保険組合で作る健保連(健康保険組合連合会)の三宅泰介政策部長は記者会見を行い、「確実に賃上げが行われたのか丁寧に検証してもらい、目的が達成できていない場合には次回の診療報酬改定で見直すべきだ」と述べました。これは今回のベースアップ評価料を最大限活用し賃上げを行なうことが次回の改定で報酬引き上げにつながることを示しています。逆に言えば中途半端な賃上げに終われば、次回改定ではそれこそ梯子を外される可能性があるということです。労働組合はこの24春闘でベアを勝ち取り、「これでも他産業と比べ全然足りていないからもっと引き上げが必要だ」と主張しなければいけないのではないでしょうか?

 24春闘では大企業は軒並み史上最大級のベアや年間一時金を獲得しています。国民の命と健康を守り、地域医療を支える医療従事者が社会的役割に見合う大幅な賃上げを獲得することは、地域医療を守り患者を守ることと同じです。6月の報酬改定までの長い春闘になることが予想されていますが全厚労一致団結して頑張りましょう。