24春・看護委員会で厚労省交渉 現場の状況訴え今後の賃上げに

 

 6月3日、全厚労看護委員会は厚生労働省との交渉を行いました。24年診療報酬改定でのベースアップ評価料が、物価の上昇や他産業の賃上げに追い付いていないこと、職種が限定されており一律の賃上げが困難なこと等への改善を求めました。看護師の夜勤等の労働環境改善、また介護に関する項目も加え約2時間、厚労省担当官に現場実態や要望を訴えました。看護委員のほか各県の役員や他職種も合わせ13県32名が参加しました。翌日には第3回委員会を開催しました。

 

現場との認識かい離実態伝える

 初めに岩本一宏委員長は代表挨拶で、入職超過率が前年度マイナス0・9%となり現場で働く看護師の数が年々減ってきていることを伝え、このままでは地域医療を守れない現場の状況を、厚労省として対応してほしい、と話しました。看護師の労働環境改善について厚労省は「職員の負担軽減を図っていくことは重要」とし、仮眠室等の職場環境改善への財政支援や復職・定着支援を行っていること、また交代制勤務について諸外国の勤務形態の状況も含め調査研究をしていると回答がありました。

 参加者からは、諸外国の働き方ではなく今いる看護師を守るよう求め、「圧倒的に看護師の絶対数が足りない状況で、勤務の仕方を変えるだけでは地域医療を守るのは不可能」と訴えました。また看護職の定着・処遇改善について、労働組合の要求から看護職員処遇改善評価料やベースアップ評価料につながったことを評価しつつ、現場では今春闘でベースアップまで到達できていない状況があることを厚労省へ伝えました。

 今回ペイシェントハラスメントの問題についても、患者家族からの暴言で職員が休職に追い込まれる実態があることや、管理者へのハラスメント教育の徹底を訴えました。また今回の診療報酬改定の認知症患者ケア加算見直しにより身体拘束による減算が、少ない看護師数で認知症患者をみている現場に、さらに身体拘束させないよう強いる状況が生まれること、看護師の定着を考えるのであれば、今いる看護師が長く働けるような制度や診療報酬の改定を求めました。

 

月8日夜勤いつ守られるのか

 看護職の夜勤日数上限について個人で月8日以内(2交代・月4回)とすること、また夜勤時間は平均でなく一人につき64時間以内とする要求に対して、厚労省は「看護職員の確保の状況など地域の実情を踏まえながら議論する必要がある」との回答に留まりました。参加者からはコロナ禍で離職者が増え、看護職の確保が困難な状況でいつ夜勤8日以内が守られるのか、現場では60歳以上も夜勤に入らなくてはいけない状況等を訴え「夜勤協定が守れている病院が今どれくらいあるか把握されていますか?」と質問しました。これには、厚労省側から「夜勤について実情を教えていただいてもよろしいですか?」と聞き返す場面もあり、後日厚労省看護課宛てに医労連23年度夜勤実態調査と22年度看護職員労働実態調査の結果が掲載された「医療労働(冊子)」を送付しました。

 ベア評価料での来年度2・0%相当の賃金引き上げの財源については、「病院の実績や賃上げ促進税制を活用した上で目標値を目指してほしい」と医療機関へ丸投げの回答があり、厚生連を含め公的医療機関が黒字を出すのは非常に困難なこと、実質賃金が下がる中で医療従事者だけ頑張れというのは入退職調査の結果からも無理なことが表れていると伝え、厚労省からは「今春闘での賃上げ状況を把握していきたい」といった発言がありました。

 6月に始まったベースアップ評価料が全国的にどう取り扱われたのかがしっかりと検証され、全厚労からも議員要請行動を通して医療機関の確実な賃上げに繋げていきたいと感じる交渉となりました。