地域住民への「想い」を大切に 教宣部で岐阜県2地域の実情を視察

全厚労教宣部は、5月10〜11日にかけて、新年号でも取り上げた新築の西濃厚生病院と、東濃厚生病院と土岐市立総合病院の新築統合の状況を視察しました。地域医療構想による、医療機関の再編統合が全国で進む中、実情や課題を掴もうと企画しました。

JA岐阜厚生連・西濃医療センター西濃厚生病院は、もともと揖斐川町にあった揖斐厚生病院と養老町の西美濃厚生病院を再編し、23年10月に揖斐郡大野町に開設。400床の許可病床を持っています。教宣部は、病院事務局長の堀尾さんに、お話を聞きました。

道の駅から眺める西濃厚生病院

元々の揖斐厚生病院は、病院の理念として、患者さん、地域社会、病院への「想い」を持って医療事業を行ってきました。人口減少等に伴って、入院・外来患者とも年々、減少傾向にあったことや、施設の老朽化や耐震化など、なんらかの対策を求められる状況にあり、あえて「地域医療構想」を先取りするような形で進めてきたとのこと。

10キロ程度の距離ですが、揖斐川町から大野町に新築移転することで、揖斐川町との関係も危ぶまれましたが、現在は良好な関係を再構築しているそうです。

広々としたリハビリ広場

一通りの説明を受けた後は、病院内で視察可能な場所を廻りました。広いリハビリルームの外には、「リハビリ庭園」が造られています。

眺望の良い特別室

近々、開棟を予定している最上階フロアからは、揖斐川の支流である根尾川と田園風景が拡がっていました。特別室の費用も公的な立場からリーズナブルで、落ち着ける環境にありました。最後に最新の放射線治療施設の内部も見せていただきました。

最新の放射線治療施設

東濃地域の医療確保へ

2日目は、東濃厚生病院(瑞浪市)と土岐市立総合病院(土岐市)の統合で、2026年2月開院予定で進められている「(仮称)公立東濃中部医療センター」の建設地を、東濃中部病院事務組合の竹内さんに案内していただきました。

新病院は2市による事務組合での「公設民営」で、岐阜厚生連の指定管理者となる予定です。現在は、病院棟地下の「免震構造」部分を工事中で、山を崩して整地された土地に、大きなクレーンが動いているのと、事務や職人さんたちの仮設施設が建っているのみでした。

視察には岐厚労役員も加わって、新病院の設計や費用、地域の課題などの説明を聞きました。地域住民や病院職員たちの一番危惧しているところは、交通アクセス面で、立地的には土岐市の瑞浪市寄りで、現在の2病院のちょうど中間地点辺りに位置するので、今でも問題となっている主要道路の渋滞や、民間バス会社の路線撤退などについて、意見交換を行いました。

また工事現場では、昨今の人材不足でも分かるように、建築会社で労働者の処遇改善を重視しているとのことで、食堂に力を入れているなどの話も聞くことが出来ました。

新病院建設地での記念撮影

2年後開院となった際には、改めて視察したい旨を伝えて、視察行動を終えました。

今回の視察にあたっては、岐厚労を通じてのお願いでしたが、JA岐阜厚生連の役職員や病院事務組合の方々にも、大変お世話になりました。ありがとうございました。