K’s金沢 学習講演 能登半島地震 私たちにできることはなにか

 

 全厚労青年集会「K,s station in金沢」では石川県医労連・嵯峨猛書記長、七尾市にある恵寿総合病院労組・真木享美書記長をお呼び
し「能登半島地震を経て 来るべき災害への対応を」と題し、元旦に発生した能登半島地震から半年以上たった今も復興が進まない状況や、
震災当日の様子などを話して頂きました。講演内容の一部を紹介します。

断水、進まない公費解体なぜ

(県医労連・嵯峨さん)

 能登半島の真ん中のあたりが七尾市で、北に行くほど地震の被害は大きくなっています。災害関連死を含
めた死者数は約290人と言われており、避難している人は一次避難と二次避難を合わせ未だに2000人
程います。断水は1821戸で水が通っていません。
石川県の公的なホームページでは、全部の市町村で水は通りましたという発表になっていますが、例
えば大きな通りまでは自治体がやってくれましたが、自分の家に届く水道は「自前でやってください」と、
いうわけなんです。
 家が傾いていて被災しているとか、過疎地域で業者が少ないなど、なかなか順番が回ってこない。地震が
起きる前から水道管の補修は地域で集められた水道料金によって行われていて、過疎地域で世帯が減れば集
まる水道料金も減ります。
賄おうとしても追いつかないので、やはりライフラインはきちんと公的なお金を投入すべきだと思います。
 輪島の朝市の焼け跡は6月からやっと公費解体が入りました。5月くらいまでは車や建物が何の整理もさ
れずそのまま残っていました。所有権がはっきりしないため公費解体できなかったのです。焼け焦げた車や
ビルはもう使えないという解釈がやっと通って解体が始まりましたが、2年ほどかかると言われています。
 組合役員の実家もそうだったんですが、被災したから壊そうと思って調べたらひいおじいさんの登記にな
っていて、壊すことの承認を得ようと思ったら10人くらいのハンコがないと進められない。今は簡素化され
ていますが、それでも勝手に壊すことが出来ないので所有者と業者とコンサルタント3者が立ち会わないと
いけない。二次避難の人もいるし、立ち会うには仕事を休まないといけない、
それで公費解体が進まないのです。

風化させず知ってほしい
 地震が起きた当初は大変でしたが色々な所の話を聞くにつれ「これは人災だな」と思うようになりました。
災害が起きて建物が壊れてしまう、水道が破損するかもしれない、過疎化の地域で業者が少ないかもしれないなど、

予想できたことに全然対応できていない。
いま災害関連死が70人まで引き上がりました。死因を見るとほとんど施設の環境が悪くて亡くなった方が多
いです。電気がなくて寒くてインフルエンザになりました、コロナにかかりました、そういった死因が圧倒
的に多い。もし体制が出来ていたならばと思います。
 7月で震災半年ですが、こういった現状がまだあります。被災者の皆さんが言うのはやっぱり忘れないで
ほしい、忘れられてしまうのが怖い、ということでした。

震災当日、病院のようす
(恵寿労組・真木さん)

 私は勤務ではなかったのですが、震災当日は元旦ということで入院の患者さんもある程度退院し、外来患
者さんの受診も少なく、日勤の看護師さんも今日は穏やかに終われそうかな、と
言っていたそうです。あと一時間でみんな帰れそうな時間に地震が来ました。
 携帯に病院の状況や連絡が入って、自分の安否状況も返信できたので病院に行かなくても自分が安全だと
伝えられました。「無理に出てこいとは言わないので、来られる人は気を付けて来てください」という案内が
来て、100人ほどの職員が病院に向かいました。
 病院自体は426床ですが免振のある本館と、道路を挟んで離れている2つの建物は耐震だけで、ひび割
れや地面に段差が出来たりしていました。とにかく患者さんを本館に移そうということで、何とかケガや、
重症に至らず移動することができました。大きいトリアージをすることはなく、安全にできたのが一番だっ
たかなと思います。
(文責・教宣部)