現場の意見踏まえ 国の政策づくりへ 石田まさひろ議員通じ、厚労省幹部と意見交換

 4月3日、全厚労は参議院厚労委員の石田昌宏議員(自民)を通じて、厚労省幹部との懇談を行いました。働き方や物価高騰に見合う賃金が得られず、人材確保が一層困難となっている実態を訴え、診療報酬改定や財政支援で医療・介護労働者の賃金底上げ等を求めました。

今回の懇談は、3月5日に衆参厚労・予算委員等を中心に要請を行った際に、度々意見交換をしてきた日本看護協会出身の石田昌宏議員に、「近々、厚労省の一定レベルの方々と場を設定していただきたい」とお願いしていたものです。

全厚労四役が参加し、石田議員とその秘書2名、厚労省からは保険局総務課長、同医療課課長補佐、医政局地域医療計画課長、老健局老人保健課課長補佐の4名に対応していただきました。

石田議員(奥側左手)と五反分秘書(中央)、厚労省幹部(右手側4名)と懇談

経営困難の状況は理解 インフレ下の改定は初

全厚労からは、ベア評価料新設に感謝を述べつつ、24春闘では全道県でベア評価料が活用され一定水準の月例賃金引き上げがあったが、一部では年末一時金のマイナスにより年収ベースで賃下げ状態が生まれていること。25春闘でも一部ベア検討されているものの、定昇実施ベースで推移しており、赤字経営が深刻化していて報酬引き上げや財政支援なしに見通しが立っていない状況を伝えました。

秋田では24年ぶりのベアが実施された一方で16年ぶりの一時金引き下げ回答の話や離職率の増加について、岐阜からは地域医療構想に沿って病院統合が進められてきたが、せっかくの基幹病院が出来ても人材不足で十分に質を担保できていない実態を訴えました。

厚労省は、現在の病院経営が赤字で推移していることは承知し、対策の必要性は認識しており、24年度補正予算等での措置を行っていると説明。また報酬引き上げには予算の裏付けが必要だが、改定の基本的な仕組みとして高齢化の影響は盛り込まれるが、前回はインフレ下での改定は初(何十年ぶり)で想定していない事態が起きている状態だと話されました。

地域創生実現へ向けた 制度設計と国の支援を

石田議員からは、現行制度が将来予見性のないもので経営者が安心して賃上げできない、物価や人件費向上分を反映させる仕組み導入や予算確保も必要で、地域では病院・施設が街作りや産業の中心となっている。「地域創生」の要ではないかと厚労省に訴えられました。また党内でも医療系の議員が中心となって診療報酬の枠組みを物価や人件費増に対応するような骨太方針をつくる署名や党内決起集会を予定していることが紹介されました。

全体で1時間半程度、さまざまな観点での意見交換を行いました。最後に石田議員から「ここで出た意見は厚労省の関係部局に伝え、政策作りに活かしてほしい。今後とも情報交換を」とまとめていただきました。

なお懇談に関わっては、3月21日予算委員会での石田議員の質問が非常に参考になりましたので、動画配信のyoutubeチャンネル(クリックでページ移動)を紹介しておきます。

医療・福祉の向上目指す 国会勢力の増勢をつくる

地域の生活や生業を維持するには、医療・福祉インフラの充実が必要です。そのためにも国会や地方議会でも、医療・福祉の向上を目指す勢力を大きくしていくことが求められています。今年7月には参議院選挙が予定されており、この間、全厚労の運動に賛同していただいた議員や医療・福祉の向上目指す国会勢力を増やしていくことも必要です。

参議院全国比例では、衆議院選挙と違い「個人名」での投票がカギとなります。全厚労では6月までに参議院選挙に向けた特集号を予定しています。医療・福祉政策の大転換めざして、これからも働きかけを強めていきましょう。

 

厚生連医療の真髄を学ぶ

 ー東海ブロック25春期学習会ー

全厚労東海ブロックは、3月15日に春期学習会を岐阜市文化センターで開催し、4県から69名が参加。翌16日には、JR岐阜駅前で独自に街頭宣伝署名行動(3月号で既報)を行い、増員署名を71筆集約し、地元紙・岐阜新聞にも紹介されました。

講師の東公敏・日本文化連代表理事理事長

初日の集会では、全厚労大栗書記長が25春闘方針を、岡野書記次長から春闘アンケートの特徴を報告してもらった後、「厚生連病院のめざす道〜医療福祉・農協等をめぐる情勢を中心に」と題して、日本文化連代表理事理事長の東公敏氏の特別講演を受けました。

文化連の基本は 憲法25条に

東氏は、日本文化厚生連が「文化=くらし・生活、と厚生=いのちと健康(社会保障)」を守るために生まれたこと、それは日本国憲法第25条に規定されている生存権の保障であると強調。その上で現状の課題として、日本では医療費高騰が問題視されているが、「医療福祉の充実を求めることと保険料・税負担を軽減することは相矛盾することなのか?」と問いかけ、社会保険の原理について説明されました。

社会保険財源が「賃金・勤労所得」「企業の利潤取得」「租税(財政投入)」の三者拠出で成り立っているが、「賃金・勤労所得」部分では、「労働者の労働力の再生産費用(老後および家族の生活費も含む)に見合った賃金が支払われていないこと」から、保険料・税負担を軽減すべきだとし、「企業の利潤取得」と「租税」からの拠出割合を増やしていくことが、社会保険財政を維持・拡大する基本であると話されました。

また日本では、薬品・器械メーカーでの利益率の高さが際だっていること、その適正化のためにも「厚生連共同購入」の重要性や、医薬品価格・流通の根本的問題を解決することが必要だと訴えられました。

この他、新たな地域医療構想の課題や地域づくりに貢献する厚生連(協同組合)医療に関しても熱く語られました。なお東理事長の特別講演の内容については、「文化連情報4月号」と文化連HPの「会長・理事長あいさつ」(クリックでページ移動)でも紹介されていますので、是非ご覧下さい。