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PARCの内田さん(右)と元衆議院議員・首藤さん(写真上)、全国食健連の坂口さん(右・写真中)、3月経産省前でのTPP参加抗議行動(写真下)
◆ 2013.05.16

秘密交渉の実態を徹底分析!グローバルな運動とつながり、TPPを止めよう!


 3月15日、安倍首相が「TPP参加表明」をして2カ月。ペルーのリマで行われるTPP交渉に、前回のシンガポール交渉にも日本人として参加したNGO「アジア太平洋資料センター(PARC)」事務局長の内田聖子(しょうこ)さんが再び参加されることを受けて、「秘密交渉の実態を徹底分析!グローバルな運動とつながり、TPPを止めよう!」と題した緊急学習会が、都内の会場で、PARC主催で行われました。
 3人の方からTPP交渉の実態や国内外のTPP反対の運動などについて報告されました。

アメリカを中心とした「世界の無国籍企業」が推進するTPP、利益は1%の大企業に

 PARCの内田聖子さんは、「TPP交渉を牛耳る多国籍大企業-シンガポール、ペルー交渉徹底分析」と題して報告。まず「TPPは、賛成している方も反対している方もその内容を知ることができないというのが問題」だとして、秘密裏に行われている交渉そのものの問題を挙げました。
 交渉のテキストを見ることができるのは、アメリカでも一部の国会議員やUSTR(米国通商代表部)の「アドバイザー」となっている約600名(その多くは企業トップやや元官僚、元国会議員など)で、本来ステイクホルダー(利害関係者)というならば、影響を受ける「国民」だってステイクホルダーのはずなのに、市民については一切情報公開されていない、という問題を指摘されました。
 前回のシンガポールでの交渉に参加していた約100のステイクホルダーは、その7~8割が企業や業界団体で、そのほとんどがアメリカの多国籍企業。しかもなんと夜のレセプションの主催も、議長国であるシンガポールではなく、アメリカの商工会議所というなんとも不思議なアメリカ主導がなされていたとのこと。さらにアメリカの業界団体の中には、例えば、米国研究製薬工業協会(PhRMA、ファーマ)には、アメリカの製薬企業以外にも、日本の第一三共、エーザイ、大塚製薬、シオノギなどが加盟しており、「薬の知的財産権保護」を主張し、TPPはアメリカの大企業というより、各国のグローバル化した「無国籍企業」の利益を得るためのものになっていると話されました。

マスコミが一切報道しない、TPP交渉の背景。アメリカでは「聖域」の認識は全くない。

 二人目の報告者、元衆議院議員の首藤(すとう)信彦さんは、「TPPを考える国民会議」調査団としてアメリカへいった内容を話されました。アメリカ議会上下院のTPPに関わる主な議員、労働団体や自動車業界、農業団体、市民団体などと意見交換したほか、アメリカ財政委員会のTPPに関する公聴会傍聴にも参加されました。
 調査での一番の驚きは、日本のTPP交渉参加に関する日米の認識のギャップ。とりわけ農業分野においては、日本が「全国民的合意のもとで」市場開放を決断したものとして受け止められていて、農業はもはや結論の出たテーマであり、TPP議論の対象ではないという考えが、議員や関係者の認識になっていること。調査団が、「日本では与党自民党が6項目堅守要求や国会の委員会で重要5品目の関税撤廃の除外を求める決議が出ている」と伝えると、凍り付いた表情になり、「全く知らない」という反応だったことが話されました。
 また自動車業界からは、日米事前協議で日本が大幅譲歩した取り扱いについても、強硬な不満が表明され、「アメリカの関税撤廃期間の延長は、自分たちが望んだものではない」「日本にセンシティビティはあっても、アメリカの工業製品にはセンシティビティはない。オープンすべきは日本の市場である」と、日本の「軽自動車規格」の撤廃などのとんでもない主張を受け入れさせようとしている、と危惧されていました。
 またTPP交渉参加に平行して行われている日米の事前協議そのものの問題も指摘。事前協議で合意されたとするものが、3年前までアメリカから要求されてきたUSTRの「年次改革要望書」の内容そのもので、この合意は、TPPが頓挫したとしても「二国間合意」として生きる可能性がある、と危機感を示されました。
 AFL-CIO(労働組合)との懇談でも、「NAFTAの経験から国内産業の衰退や失業を増やすと反対しており、日本の『連合』にも何度も何度も、警告している」と聞いたと話されました。 
 さらにこの調査活動については、日米のマスコミにその都度、何度も「記者会見」を行ったのに、どこも全く報道しなかった、唯一、調査団の報告を取り上げたのは、日本では「日本農業新聞」と、アメリカのワシントンポストだったと話され、市民レベルの情報伝達の重要性を指摘されました。

TPP参加阻止は可能。情報の共有と運動の連携、「公約違反・TPP推進議員はいらない!」の声を

 国内のTPP反対運動の状況と展望について報告された、全国食健連の坂口正明事務局長は、「二人の報告にもあるようにそもそも『聖域』そのものがあり得ない中で、国内では、『交渉の中で聖域を守るように頑張れ』という世論誘導が行われ、地方議会や業界団体の一部に影響を及ぼしている」、と指摘されました。
 しかし、TPP参加はおかしいと思う人々は増え、「コメの自由化」の時とも違って、TPPの影響分野が幅広いこともあり、多様な団体や個人が反対しており、しかも互いの連携が進んでいるのが特徴とされました。最近、「教員の会」も発足し、地域の運動との連携や専門家の立場からの検証でも相乗効果が生まれていると報告されました。

 「TPPの危険性」が明らかになり、安倍内閣の「交渉力のなさ」「詐欺的な手法」が際立ってくるなかで、情報隠しや公約違反を許さない声と、私たちが得られた情報の共有や公開で、世論を大きくしていくことが求められている。自民党自身も「公約を破った党の行く末は民主党が示している」と言う中で、夏の参議院選で、「公約違反・TPP推進議員は国会にいらない」の世論を作っていこう、と訴えられました。
 また5・25の大集会は、ペルーで交渉を終えて内田さんが戻ってこられるので「最新の交渉情報」を期待して参加してほしい。「こんなに大きな反対の声があるんだ!」ということを示していこう、と呼びかけられました。

STOP!TPPアクション TPP参加をとめる!5・25大集会のページ

 




     
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