ベアを勝ち取る24春闘を決起

西日本ブロック春闘討論集会in高知

 全厚労春闘討論集会(1面)を経て、各県労組やブロックで要求討議が始まっています。全厚労として24春闘へ向け行った議員要請行動や、厚労・財務大臣への一言署名、厚労省交渉の取り組みが実り、診療報酬の本体部分の引き上げや、令和6年度にベア+2・5%、令和7年度にベア+2・0%を実施し、医療労働者の賃上げ(ベースアップ)に使うという文言を始めて記載させました。各県の奮闘で24春闘はベアを実現しましょう。

 2月3〜4日にかけ西日本ブロックは春闘討論集会を高知市・土佐御苑で開催。この間では最多の75名が集まり、24春闘への各県の本気度が伝わります。開会のあいさつで開催県の由比智一高厚労執行委員長は「高知でも厳しい時期もあったが、全厚労やブロックの支援で乗り越えてきた。コロナが緩和され現地でこれだけの人数で開催できることをうれしく思う」と集会の成功を祈念。岩本一宏全厚労中央執行委員長からは「全厚労として各県の賃金を上げたいという想いで取り組んできたことが、12月の厚労大臣と財務大臣の折衝で実を結んだ。24春闘では全ての県でベースアップを勝ち取れるよう大いに議論をしていただきたい」と活発な議論を呼びかけました。

 基調講演は日本医労連から森田進書記長にお越しいただき「産別統一闘争とストライキ戦術について」のタイトルでお話頂きました。以下抜粋し紹介します。

ストライキは戦術 議論して構えよう

 

 初めに24春闘で何としても賃上げ・ベースアップを勝ち取りたいと思えば、交渉だけでは変わらないんです。ストライキという労働組合特有の権利を掲げて交渉することが回答を引き出すために無くてはならないことだと思います。ただ、「ストライキありき論」や「ストライキ万能論」ではないし、医労連はそういう立場に立っていません。あくまでも回答を引き出すための手段としているので「戦術」という形にしています。ストライキを構えたら何が何でも打ち抜くということではないということは先にお伝えしたいと思います。

 岩本委員長が言われたように24春闘は大幅賃上げができる情勢、取らなきゃいけない情勢になっています。23春闘はストを配置して交渉を進めようと「大幅賃上げ元年」と題し、ストライキを背景に交渉を有利に進めるよう呼びかけ、スト実施組合は200を超えました。議論をしたけど医療や福祉の職場で患者や利用者に迷惑をかけたくないとスト配置ができない単組支部もありましたが、それでよいと思っています。議論をして初めて、「ストを構える大変さ」や「なぜ構えなきゃいけないのか」ということが組合員の中で話題になったと思いますし、翌年のスト配置に繋がった組織もあります。いい春闘議論になりましたし成果がたくさん出たと総括しています。

 

本気の準備と構えがスト回避にも繋がる

 ストライキには、時限ストや全面スト、指名ストなどがありますが、いずれにしても10日前までに自治体と政府に届け出る義務があります。ストを打つことが目的ではなく、回答を前進させるために戦術としてストを構えます。だけども、しっかりと構えないとあまり効果がありません。組合が本気でストライキの準備をして、本気でストライキをやると思わせないと会側は恐れません。強く構えれば構えるほど、ストを打たずに解決する確率が高くなります。そこがポイントなんです。

 組合員の皆さんはストを打つことに不安を持ちますので、ストライキは打つことが目的ではなく、回避をするために私たちも最大限努力するし、回避をするということは回答を引き出すということなので、そのために有効に使うものだということを強調したいと思います。患者には「ストを回避するために頑張るが、医療・介護現場の賃金が上がらないと離職が進み入職も見込めない、だから場合によってはストに入ることもあります」と伝える必要がありますが、地域や労使の関係性があるので良く話し合って決めてもらいたいです。ただ、ビラを撒くことは組合が本気でストをするという表明で、経営者にはものすごい影響力があります。

 

3つの要素でスト決行を判断

 ストを構え、打たなくてはいけなくなった時の判断は執行部に求められます。その時の判断基準は大まかにいうと図Bの3つだと思います。1つは回答の前進に繋がるかです。組合がベアを求めているのに会が出さないという回答を出し、交渉で「診療報酬の中で出ているのになぜ出さないのか」問うても前進回答が無ければ、ストを打って前進回答に繋がるかを当然判断しなくてはいけません。2つ目は回答が出ないが組合員が納得していない時に、次の労使交渉や組合の意思統一に良い影響があると判断すればストを打つべきだと思います。

 何よりも大切なのは3つ目の組合員の団結が守られ、団結が固まるかです。不団結を生むような経営に打撃だけを与えたいとか、一部の執行部だけで決めたストライキだとか、そういうことはやってはいけません。組合員から否定的な意見が出ることもありますがそれだけの言葉に流されてもダメなんです。そのような状況を見極めながら、スト決行が組合員に受け入れられ、団結に繋がり、運動が前進すると判断すれば恐れることなくストを決行することになっていくと思います。

 

すべての県でベア要求 闘い抜く意思統一へ

 2日目のグループワークでは、各県の春闘要求項目の確認と春闘の最大目標であるベアを含む大幅賃上げ要求を獲得するために労組としてどう行動するかを議論しました。グループ発表では参加した全ての県からベア要求を掲げて24春闘に取り組む決意が述べられました。集会のまとめとして、松田純一全厚労副執行委員長から「ベアを勝ち取る24春闘を決起できた。強い単組、強い西ブロ、強い全厚労と言ってきました。団結して24春闘を闘いましょう」との決意表明で閉会しました。

 

 

賃上げ、人員確保のチャンス活かそう

三北ブロック春闘討論集会in新潟

 2月9日、三北ブロック1道4県29名の役員らが参加して、24春闘討論集会が新潟市内のホテルで開催されました。各組織の実態や課題を交流しながら、賃金・労働条件の大幅改善に向けた春闘前進への決意を固め合いました。 ブロック代表の畠輝義中央副執行委員長の挨拶の後、松尾晃書記次長から、23秋闘の取り組みを通して、「賃上げ」目的の診療報酬改定を実現させたことや、診療報酬のベースアップ評価料の仕組みについて説明を行いました。また3県で取り組んだ春闘アンケートの結果でも、生活が苦しくなったとの回答が増えたことや、生活での賃金乖離、春闘要求金額が大幅に増えている現場実態など、大幅賃上げの必要な春闘であることを確認しました。

 各県からの報告では、「定昇+ベア2・5%の賃上げ、雇員の時給アップと年間一時金4・3カ月の確保を始め、夜勤手当増額や忌引き休暇等の諸条件の改善を求めていく」(北海道)、「2度の事務折衝で、ベア春闘の決意を示してきた。6月まで引っ張っても闘っていく」(秋田)、「これまでベア千円要求だったが、今年はベア1万円要求を考えている」(福島)、「年末一時金も妥結せず頑張っている。ベア獲得に向け、現場からもストをしなければの声が上がっている」(新潟)、「今年の春闘はコロナで出来なかった〝青年行動隊〞や〝春闘決起集会〞を実施」(富山)など、勢いのある発言に溢れていました。討論では、薬剤師など人員不足への対策や離職防止のためにも、賃金確保が最重点課題であることを参加者で確認しあいました。