全国の青年が最賃体験〝生活できない〞

 6月10日から1ヵ月間かけて行った医労連「最低賃金生活体験」の報告集会が、8月5日にオンラインで開催されました。体験の取り組みは3年目となり、全厚労からも6県20名の青年が参加。最終集約数は3全国組合18県医労連55名、13職種となりました。

最賃での生活7割が達成できず
 参加者は地域別最低賃金をもとに算出された月額から、単身者として住居費・水道光熱費・社会保険料等
の固定費を差し引いた金額で30日間生活を行いました。
 期間中、予算を超過し「最低賃金での生活」を達成できなかった参加者は41名。超過金額の最大は▲29万778円(大分)、最小は▲464円(長野)で、中央値は▲5万6508円でした。残金を残せた参加者は14名で、最大残金は4万7194 円(長野)、最小は88円(北海道)、中央値は1万741円でした。全労連の定期する全国一律最低賃金1500円を想定した場合、44名の予算超過者は11名まで減少します。

 

生活費に格差なし
 中央最低賃金審議会では、最低賃金を全国平均で時給1054円とし、現在の1004円からの引き上げ目安額50円とするよう提案しています。50円程度の引き上げで、はたして安心して暮らせるのでしょうか。また最も高い東京都(1113円)と、最も低い岩手県(893円)では220円の差がありますが、コンビニで買うおにぎりの価格はどこでも一緒で、地方だからといって生活費が安いわけではありません。物価高騰が続く現状に見合った最低賃金が必要です。

 

体験から最賃引き上げに繋げて
 報告会では参加者の感想交流が行われ、「急遽、夏タイヤを買う事になったり葬儀があったりコロナにかかったりと結果4万2千円オーバーしてしまった。なんで最賃体験の時にこうなっちゃうかなと思ったが、突発的な出費は毎月あっても今まで悩むほどではなかったが、最賃では対応できないことに気づいた。家で自炊して食べて寝ては出来るが趣味にお金が使えず、貯金なんてもってのほか。1500円を目指すことが

必要だと感じた(北海道)」、「暑いので飲み物を買いたいなと思っても残金を考えて150円を少しためらう時があった(滋賀)」、「食費を抑えようとカップ麺などを買っていたら体重が増えてしまいストレスや健康を害してしまうことを身をもって知った(北海道)」といった声がありました。
 京都・徳島では、最賃体験を行った青年が地方最賃審議会で意見陳述を行うなど行動を起こしています。ほかにも青森、宮城、埼玉、東京、長野、愛知、滋賀でのとりくみが予定されています。
 中小企業への支援策の強化とあわせて、最低賃金を引き上げることですべての労働者の賃上げに繋げ、地域間格差をなくし全国一律最賃制度の実現を目指していきましょう。医労連がめざす看護師・介護士を対象とした「特定最賃(産別最賃)」の新設をめざす取組みも重要です。

最賃体験全体の結果