看護師の地位と処遇の向上を!! 日本看護協会と懇談

 3月26日、看護委員会は日本看護協会ビルJNAホール(東京都渋谷区)にて日本看護協会と懇談を行いました。23名が参加し、「人材確保」と「ハラスメント」のテーマで現場の実態を伝え協会の方針を伺いました。

日本看護協会(以下、協会)からは、労働政策部の堀川尚子部長、看護労働課の土屋あゆみ課長、他3名が参加されました。

 冒頭、岩本中央執行委員長は、「厚生労働省に対し、看護職の地位をあげてほしいという方向性は同じ。今日は全国から現場の看護師が来ているので、看護労働の前進に一役たてればと思っている」、とあいさつし、堀川部長からは「看護職をとりまく状況は大変厳しくなっている。協会にも長時間労働、夜勤問題、ハラスメントの訴えを沢山頂いている。必要な法改正、制度改正、報酬上で看護職員の地位向上や処遇改善を働きかけていきたい。それには、現場で実際働いている人の生の声をエビデンスとして活かしていくことが必要。改善していくべき点を承れればと思っている」と返されました。

多様な働き方がキーワード

 人員確保のテーマでは、「多様で柔軟な働き方」がキーワードとなりました。協会は、人口減少で新卒の確保が難しくなり、就業継続やプラチナナースの活用を検討してきた状況を踏まえ、育児や介護等様々な理由から夜勤やフルタイムで働くことが困難な看護師が退職し、診療所などへ移ってしまう実態に、フルタイムに縛られず、多様で柔軟な働き方を整備することで正社員のまま働くことを提案している。それを実現する為には、人員が足りていない中で、病院のマネジメントが重要であり、ICT等の活用で業務負担を減らし、看護師でなければならない業務を看護師ができるような体系づくりが必要との認識を示しました。

 それに対し、広厚労から「週休3日制」導入の経緯と制度内容や実際に週休3日制で働く職員の状況、徳厚労から「夜勤の負担軽減策」としてのプラチナナースの活用など、現場の取り組みを伝えました。

 

 

現場でのマネジメントに課題

 山厚労から「ダイバーシティーマネジメント」や「多様な働き方」として、正社員で夜勤をしなくて良い働き方を導入した時に、夜勤希望者が今よりも減少してしまうリスクがあり、組合としても対応していきたいがマネジメントが難しいと伝えると、協会からは、夜勤をやらないのであれば処遇で差をつけることも重要として、一律同じ処遇ではなく日勤のみの給料や、2交替がきつく辞める人がいれば、3交替で働く人の処遇でつなぎとめていくことや、多く夜勤できる人にインセンティブを付けるなどの考えを示しました。

 三厚労から夜勤専従、2交替、3交替と個人に合わせて勤務を組んでいくことが管理職の大きな負担となっている。また、夜勤だけ他の病棟や救急外来に入るなど、看護師が希望する看護ができにくい実態を訴えました。

 協会は、場所や時間などを固定した場合は「限定正社員」として、自由に動ける人が一番良い処遇になるような制度を提案。また三重の様な多様な働き方は先駆的であり、現状の勤務表ソフトでは対応が難しいが、勤務ソフト業者に今後このような対応が主流になることを伝えていくことも重要と話されま

した。

 

看護学校 定員割れ対策

 

 全国的な看護学校の定員割れについて、全厚労から看護師に興味を持ってもらうための対策を聞くと、協会は「看護の日」などのイベントや看護ちゃんグッズ作成、県協会の小中学校への出前授業実施、社会人へも看護職になってもらえるような魅力の発信をしている。また半数以上が短大卒で専門学生が減っている現状から、大人の転職には処遇が重要としました。

 

看護職へのリスペクトを

 三厚労から、現場では患者が自分で出来るようなことも看護師にやってと言われることもあり、看護師は専門職であってサービス業ではなく、患者さんや地域から看護師へリスペクトを持ってもらえるような取り組みを訴

えました。協会は、コロナ禍ではリスペクトがあったが、今は患者からのハラスメントが戻ってきた。タスクシフトやシェアの推進や、カスタマーハラスメントについての周知、国への働きかけの取り組みを紹介しました。

 

 

カスハラ対策 好事例を共有

 厚生連病院では、トップメッセージとしてのハラスメント撲滅宣言の取り組み広がっていることを伝え、全国規模で看護協会と共にできることを尋ねました。協会からも、カスハラ実態把握を行い、努力義務での課題や現場の実態、支援について、一緒に考えていけたらと発言がありました。また、看護協会に寄せられるハラスメント相談は依然として医師や上司、職員間での相談が多く、職場内コミュニケーションや過重労働も要因と考えられる。「月刊看護」で患者ハラスメントの事例を報告しているとして、具体例を述べられました。

今年の懇談も現場の取り組みと協会の考え方を伝え合う大変有意義な機会となりました。労働組合と看護協会でそれぞれの立場はありますが、看護師の地位向上と処遇の改善はもちろん、人材確保・離職防止についても喫緊の課題であることは共通の認識として違いないことを確認できました。看護師一人ひとりが輝いて働き続けることのできる職場を目指し、今後も全厚労看護委員会は邁進いたします。