25春・看護委員会が厚労省交渉 地方任せでなく国の責任で実効性のある政策を!!

6月24日、全厚労看護委員会は厚生労働省交渉を省内共用第5会議室にて実施し看護委員とオブ参加計28名が参加しました。要請は1・看護師大幅増員の推進、2・看護師の勤務環境改善と、夜勤・交代制労働の規制強化、3・看護師をはじめとする医療・介護労働者へのハラスメント対策の推進の3つを主とし、17項目で行いました。抜粋して掲載します。

厚労省交渉前の打合せ

増員は〝今〞すぐに 最低基準の底上げを

看護職員の大幅増員と、そのための配置基準の抜本的な改善、夜勤月8日以内規制の要請について厚労省は、「配置基準は最低基準で、基準以上の看護師を配置することは、個々の病院により規模や機能に応じて判断されることが適切だと考えている、最低基準の引き上げにより、現在の各医療機関の診療体制と地域医療の提供体制に影響があることが想定されるため、慎重な検討が必要。月8回以下の夜勤体制の構築に向けて、引き続き積極的に努力する必要がある。看護体制が多様化する中で、負担に配慮した夜勤体制の構築の必要があると認識している」と回答しました。
参加者から「配置基準の引き上げが病院経営や地域医療に影響するとの回答だが、どの程度の引き上げでどのような影響があるか試算はあるか」と問うと、看護課は「配置基準の具体的な部分は看護課以外が担当で、調査等の情報はない。影響については、看護師への規制強化は他の職種も同様に規制をかけるべきだと声があがる可能性がある。そうすると医療提供に支障をきたすなど、様々な影響が出てくる。それに伴い看護職員の賃金・待遇に影響が返ってくることを考えると、制度運用における適切なバランスを見極めながら計画をたてることが重要」との考えを示しましたが、現場の看護師は今が一番大変であり、今の配置基準により疲弊し、休職や離職で診療体制に影響が出ている実態への理解が見受けられませんでした。
参加者からは、「看護師は業務をこなすことで精いっぱい。やりがいが削がれ充実した看護ができず離職者も増えている」「急にすぐどうこうできる問題ではないと思うが、2年後5年後をどう良くしていくのか具体的な指針を示して欲しい」と発言がありました。

看護学校へ早急な支援必須 地方任せでは済まされない

看護学校への財政支援の強化の要請に厚労省は「看護師等養成所の運営、施設の整備は、都道府県ごとの地域医療介護総合確保基金によって財政支援を実施している。各県が事業計画を作成し、補助基準等を定め交付しているため、支援の格差等については、引き続き県とよく相談して頂きたい。厚労省としては引き続き医療従事者の確保養成など、地域の医療提供体制の確保のため、基金の確保に努めたい」と回答。参加者から、「地方では専門学校が多いと思うが、学生の人数が減ってきていることを把握されているか。学生が減れば経営も悪くなり、閉校も増えてきている。地域の病院で働いてくれる看護師は専門学校出身が多い。今の基金だけでは足りてないのが現状ではないか」と問うと、厚労省は「毎年度、都道府県毎の集計報告があり、人数等は把握している。学生の減少は少子化や、大学に流れている。大学は都心部に多く、地域を支えているのは専門学校、養成所と我々も思っているが現時点で新しい財政支援は考えていない。社会人経験者が看護師としての未来を考えていただけるようなPRはしている。基金での財政支援は、地域の状況に応じて都道府県ごとに策定し実施いただいている状況」と自治体任せともとれる回答がありました。
これに参加者から「国として地域に看護養成所を作るぐらいの勢いがないと、本当に看護師の確保が大変。大学で地元を出てしまうと帰ってこない。基金は、都道府県が本腰をあげて運用しているか厚労省は指導したり視察したり確認はされないのか。県にお任せなのか」と厚労省の姿勢を質すと、「看護課内でどういった養成所があるのか、何名入ったか、増減を把握している。厚労省としても相談がきて連携をとっている、ガイドラインでも教育の質を保つために統一した基準等は定めている」と回答しましたが、具体的な指導内容などは示されませんでした。

看護課を中心にした厚労省交渉

医療機関の要望で削除 現場労働者目線で規制を

夜勤専従者の「144時間」制限復活の要請に厚労省は「勤務環境改善、夜勤の負担軽減は重要な課題と認識している。夜勤専従者の144時間制限は、医療機関等からの要望、就業規則での規定が可能なこと等を踏まえて削除された。『夜勤における勤務負担が加重とならないよう十分配慮すること』と通知の記載が変更されている。看護職員の月平均夜勤時間の要件を72時間以下とすることも、看護職員の確保の状況など、地域の医療提供体制や医療機関の診療体制などの実情を踏まえて慎重な検討を行ってきた。引き続き医療現場の関係者の意見を踏まえつつ中央社会保険医療協議会において必要な対応を検討していきたい」と回答。参加者から「144時間の夜勤制限は病院や事業主からの意見で撤廃して、いくらでも夜勤させられるけど夜勤者の負担は軽減したいというのは、矛盾があるのでは」と指摘しました。
厚労省は「夜勤専従者における夜勤時間数は72時間の2倍以内であることといった144時間の記載があったが平成24年度の改定で削除されている。夜勤をする看護師においては月72時間以内にとしている」と明確な回答はありませんでした。参加者から「中医協で話していると思うが、話し合いの中に医療現場で働いている労働者代表がいない。それで診療報酬が決まっているのは非常におかしいと思っている。ぜひ参加できる形にしてもらいたい」と制度・政策の検討段階で現場の意見を反映させられる仕組みの構築を強く要望しました。
今回の厚労省交渉は、要求項目を看護現場の問題に絞り、医政局看護課の対応時間を確保しました。地方・へき地の看護現場の実態を正確に踏まえた、実効性のある制度・政策の
為には、継続した要請行動で現場実態を訴え続けることが重要です。交渉はオブ参加も受け付けています。皆様のご参加お待ちしています。