10月8日、全厚労は参議院議員会館内で、四役会議を開催し、合わせて「第一次財務省要請」を実施しました。政局が混沌とする中で、医療・社会保障費の増額や26年度診療報酬の大幅引き上げ、補正予算での財政支援等を求めました。
今回の財務省要請は、8月28日の参議院議員要請で財政金融委員会所属の小池晃議員(共産党)を訪問した際にお願いをしていたもので、秘書同席で行いました。財務省からは、主計官補佐(厚労担当、こども家庭、統括補佐)の松本氏が対応しました。

全厚労は、「社会保障を充実させるための財源を確保すること」を大きな柱として、社会保障関係費の増額とともに、国民負担増ではなく大企業の社会的責任強化、OECD並みの水準確保、26年度診療報酬改定の最低10%以上引き上げ、物価上昇や賃金増に見合う「スライド制度」の導入、経営安定化と人件費のための補正予算での財政支援を要求しました。
「骨太方針2025」にそって対応を検討中
担当官は、「2016年度から骨太方針に基づき、社会保障関係費は高齢化の伸び率に押さえることが決められている。消費税収の使途である社会保障4経費(年金・医療・介護・少子化対策)は34兆円のうち、消費税は20.1兆円、残りの13.9兆円は赤字国債で賄っており、将来世代への先送り負担となっている」と説明。また「OECD内では対GDP比8位(22年度)で中福祉であると認識している」と回答しました。
診療報酬改定については、「医療機関を取り巻く環境変化は理解している」としつつ、「これから年末にかけて関係者との議論で決定されるものであり、まだ病院経営のデータや経済・物価動向など客観的データが揃っていない」としました。現時点で言えるのは、「骨太方針2025」で打ち出されている「医療・介護等の現場の厳しい現状や税収等を含めた財政の状況を踏まえ、『保険料負担の抑制努力も継続』しつつ、賃上げの実現や昨今の物価上昇による影響等について、経営安定や現場で働く幅広い職種の賃上げに確実につながるよう的確な対応を行う」ということに沿って、準備を進めているということまでしか述べられない、としました。

公的インフラとしての処遇を担保する報酬を
全厚労からは、厚労省の「賃金センサス」でも16ある産業分類のうち、医療・福祉分野は12位。一方で、同じ社会的インフラである電気・ガス等のエネルギー産業は1位。国民生活に必要なインフラ産業でありながら、医療・介護の社会的役割は、軽んじられているではないか、と訴えました。
また経営実態に関しても、多くの病院・施設がこれまでにない赤字経営に陥っているのは、各種団体の発表でも明らかなこと。現実に医療・介護労働者は、賃上げも他産業の水準から出遅れており、一般国民同様に、諸物価高騰に生活を苦しめられている。診療報酬10%増が必要というのは、労働組合だけでなく、多くの医療関係団体からも要望されていると強く強調しました。さらに減ってはきているものの「ただ働き(サービス残業や不払い残業)」が残されており、現行診療報酬でもまともに残業代を支払えばたちまち医療経営は破綻してしまう水準だ、と指摘すると担当官も、驚きの表情を持って受け止めていました。
最後に、現実に医療・介護崩壊を招かないためにも、財務省も大変だと思うが汗をかいてほしい。また今日は第一次要請行動として考えており、改めて現場実態のデータを持ち寄り、話をしていきたいとお願いして、予定時間をオーバーしての行動を終えました。