全厚労ニュース速報12月4日秋闘速報No.11

県、補助金運用や人材確保支援の

強化を示唆

広厚労執行部(要請団)広島県庁健康福祉局へ要請・懇談

県健康福祉局と要請団

 全国キャラバン16県目は、広島県。12月2日大栗陽(全厚労書記長)と高本奉彦(広厚労執行委員長)、近村勝也(広厚労書記長)、山手規正(広厚労特別執行委員)(以下、要請団)は、広島県健康福祉局へ要請しました。

 要請団からは、各々要請内容について以下のように県側に話しました。

1. 診療・介護報酬改定の遅れによる経営難と看護師不足の実情を共有し、臨時補助の意義は認めつつも根本改善には不十分と指摘しました。DX・AI・機器導入による業務軽減や外国人人材活用の必要性を訴え、県・国への働きかけを継続強く要望しました。

2.国の補正予算・基金の迅速運用と地域医療・介護人材の賃上げ要望し、DX推進、外国人人材受け入れ環境整備に言及しました。中山間地域の医療機関への手厚い対応と、診療報酬による国の抜本対応の必要性に言及しました。

3.廿日市・尾道・吉田総合の3病院の現場課題を報告しました。看護師離職による病棟制限、賃金の相対的低さ、夜勤負担、設備投資やDXの遅れ、身体拘束評価の現場乖離、補助金申請の難しさを具体例で提示し、地方の医療維持が地域存続に不可欠と訴えました。

4.看護学校閉校判断や医師派遣の不安定さ、大学医局との関係が地域医療に影響する点を懸念。夜間少人数で多数患者を診る現実、介護現場の高齢化、病院再編で地方から医師が奪われる懸念を提示。

広島県庁内にて

5.現場の看護師不足、夜勤増、ベッド減、認知症・高齢患者の増加に伴う業務過重を報告。書類業務の簡素化、賃金改善、人材確保支援、産科・小児科など出産施設の維持強化の必要性を訴える。

質問項目のポイント

  • 診療報酬改定・介護報酬・臨時補助金の現状は病院経営の改善に十分かどうか。

・臨時補助は冬を凌ぐ意義はあるが、根本改善には不足で、診療・介護報酬の確実な引き上げが不可欠です。(要請側)」

・国の補正予算が到来し、県で事務を大至急進めています。基金運用には県の負担もあり厳しいが、国の診療報酬での対応に同意しています。(県側)

  • 現場の看護師不足と離職の実態・要因は何か。

・3病院で看護師離職が進み病棟制限中です。賃金が他産業より低く、夜勤が子育て世代に負担になっています。(要請側)

・夜勤日数増、ベッド減、認知症・高齢者対応で疲弊しており、賃金改善と書類簡素化が必要です。(要請側)

  • DX・機器導入やAI活用の必要性と障壁は何か。

・記録・報酬関連書類が業務時間を圧迫しており、AI・ITで事務負担を軽減し、ロボティクスで移乗支援すれば腰痛などを減らし定着率向上するのでは。(要請側)

・紙運用が続き電子化が遅延しています。設備更新費用が評価に加味されず導入困難です。(要請側)

・県としてDX普及を支援し、テクノロジー活用を波及促進します。外国人人材の活躍環境整備も進めたいと考えています。(県側)

  • 補助金・基金の運用や申請の課題は何か。

・ある補助金に申請すると他の補助金が使えない選択制の制約があります。手続き煩雑で現場に負担となっています。(要請側)

・基金は県も財源負担があり運用が厳しい状況です。国の診療報酬での包括的対応を要望します。(県側)

  • 身体拘束評価と安全の両立に関する現場の懸念は。

・身体拘束で報酬が大幅カットの評価は高齢者多い現場と乖離しています。拘束回避で事故が起きた例の情報もあり、実態を踏まえた見直しが必要です。

・国へ現場実態を踏まえた政策提言を行う姿勢でいます。(県側)

  • 医師派遣・病院再編の影響と地域医療維持策は。

・大学医局派遣の不安定さ、病院再編で地方から医師が引き上げられる懸念があり、夜間少人数で多数患者を診る高負荷を強いられています。(要請側)

・地方から医師を奪わない再編を希望します。産科派遣の例に希望を見いだすが持続可能性が課題です。

・大規模病院と地域の役割分担の課題認識あり、県としても対応を検討します。(県側)

  • 設備更新と法制度面の後押しは可能か。

・診療報酬が上がらないと建て替えや更新が進まず、黒字でも報酬が下げられる仕組みの難しさを懸念しています。(要請側)

・更新優先の制度的枠組みが欲しいです。赤字を理由に更新不可だと手作業増でミス誘発します。国・県の一体的取り組みを要望します。(要請側)

  • 出産施設・小児医療の維持と人口流出の関係は。

・出産施設の縮小で若年層が流出しています。産科・小児科の維持強化が定住環境に不可欠です。(要請側)

・地方に住み続けるために医療の確保が大切です。農業など地域産業維持にも直結します。(要請側)

  • 今後の要望・行動計画は。

・来年度の診療報酬改定は3%程度では不十分です。臨時改定も含め国へ再度要請予定です。全国的に公的病院の赤字が深刻で広く問題提起する予定です。(要請側)

・県として国へ強く働きかけ、地域医療を支える病院への支援を継続します。(県側)

県庁前から尾道市役所までゼッケンアピールに出発!!

尾道市における医療体制と病院経営について

 要請団は、県庁要請を終えたのち県庁前から尾道市役所までバイクで市民にゼッケンアピールしながら向かいました。尾道市では要請団に岩本全厚労委員長が加わり、福祉保健部健康推進課、課長と主幹が対応していただき意見交換を行いました。

要請団と福祉保健部健康推進課のお二人(尾道市役所)

地域医療の危機的状況と全国的な動向について

 全厚労として40年ぶりに加盟組織の道県、地方自治体を訪問するキャラバンが実施され、尾道市役所が最終訪問先となしました。目的は地域医療の改善策を模索し、地方の現状を把握し国への要請を行うことです。共通の課題としては、多くの地域で補助金なしでは病院経営が困難であり、居住地による医療格差が深刻な問題として認識されています。

診療報酬改定の必要性について

 経営改善の鍵としては、補助金に依存せず病院が単独で黒字化するためには、最低でも10%の診療報酬引き上げが必要であるとの認識で一致しました。これは東京都のアンケート結果とも合致します。尾道市としても、全国市長会を通じて国に対し、現場の実情に応じた柔軟な診療報酬改定を要望しています。要請団からも、診療報酬引き上げに伴う窓口負担増について、市民の理解を得るための広報活動の必要性が指摘しました。根本的な解決策として診療報酬本体の引き上げが最優先であり、今後の国の対応が注視されます。

医療従事者(医師・看護師)の確保と定着について

看護師不足の深刻化

  • 各病院で看護師の離職が止まらず、病棟の縮小や休止を余儀なくされています。各病院でも夜勤日数が増加しています。
  • 離職理由として、賃金、夜勤負担、他産業との待遇差が挙げられます。4年制大学卒の看護師が賃金面で企業に劣る病院を選ばない傾向があります。
  • 尾道市としても、看護学校の閉校を踏まえ、人材確保に力を入れるべきとの意見がだされました。

医師確保の課題

  • 広島市など市外から通勤する医師が増加している。(住宅支援の不備、子息の教育の問題など)
  • 婦人科・小児科の減少が、地域の人口減少に繋がる懸念が示しています。

確保・定着のための提案

  • 奨学金返済支援: 看護学生等が卒業後に市内で就職した場合の奨学金返済支援制度の導入はどうか。
  • 住居支援: 医師を市内に呼び込むための借り上げ住宅の提供を。
  • 教育環境の魅力向上:医師の子どもの教育問題も移住の障壁であり、市内の高校の魅力アピールが必要です。

行政の認識として

行政(市)は、医師だけでなく看護師を含む医療従事者全体の確保が重要課題であると認識しており、今後は医師会などとも連携し、具体的な方策を検討していく方針です。

尾道市議会村上久美議員事務所にて

JA尾道総合病院への支援について

 市は二次救急、周産期、小児救急の拠点として補助金を提供してきましたが、同病院は中山間地域に位置し物価高騰の影響を受けやすいため、補助金の重要性を強調しました。労働組合からも役割に応じた補助金強化の要請をおこないました。

補正予算の遅れについて

  国で決定された令和6年度補正予算がまだ現場に届いていません。令和7年度予算も迅速な執行が求められていると要請団から発言がありました。

病院間の連携不足について

・尾三圏域の地域医療構想は県が主体であり、市や各病院間での具体的な情報共有が不足しています。(市側)

・市民病院とJA尾道総合病院は大学の医局が異なることもあり、連携に関する議論が進んでいない可能性が指摘しています。(要請側)

 ※結論として限られた医療資源を有効活用するため、各病院の機能分担や役割について関係者間での情報共有と議論を深める必要があります。

市民病院の今後について

・現在は経営改善が最優先課題です。新棟建設計画に関する議論は病院事業局に移管されたが、その後の進捗は不明確です。(市側)

病院を中心としたまちづくり

 人口減少と高齢化が進む中、若者を呼び込み定住を促す「マグネットホスピタル」構想が提案しました。これは健康推進課だけでなく、市全体のまちづくりに関わるテーマとして、今後の議論が期待されます。(要請側)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広島県庁から尾道市役所までゼッケンアピールを行いました!

農業新聞の記者さんに出発の様子を撮影してもらいました
三原の道の駅にて
近村書記長と山手特別執行委員

全国キャラバン終結集会in尾道

 122日火曜日広島県の要請を終えると、106日月曜日北海道から始まった約2ヵ月に亘る全国キャラバンが終了しました。関わった道県の担当者の方々本当にありがとうございました。まずは事故も無く無事に周れたことにホッとしています。これを機会に地元自治体や道県に対して、独自に要請なり懇談を持つきっかけになれば幸いです。全厚労としても国や議員に対して地方の声を届けたいと思います。来年こそは、診療報酬改定を前提に春闘では大幅賃上げを達成しましょう!

グリコポーズでゴールイン

大分から中野中執も駆けつけてくれました