診療報酬改定・労働法制改悪を学び、各道県のたたかいを交流
全厚労は5月15日から16日にかけて、医療労働会館2階会議室で第7回拡大中央執行委員会を開催しました。会議では、26春闘の回答状況と各道県の到達点を交流し、診療報酬改定に伴う賃上げの取り扱い、さらに労働基準法をめぐる労働法制改悪の動きについて学習しました。
他産業との賃金格差広がる
26春闘は、診療報酬改定と補正予算による「医療・介護支援パッケージ」が重なる中で、例年以上に複雑な交渉となっています。日本医労連の集約では、4月28日時点で回答を引き出している単組・支部は202組合にとどまり、賃上げ回答が示されたのは90組合です。ベア平均額は4,849円、定昇込みの基本給引き上げ額は5,733円、手当を含む全体額は6,987円となっています。
一方、国民春闘共闘の単純平均は9,060円、連合の加重平均は16,879円であり、医療・介護職場の賃上げは他産業に大きく遅れています。
パート時給者の回答も66組合、平均42円にとどまり、物価高騰のもとで生活改善にはなお不十分です。さらに、要求提出や回答引き出しが進んでいない組織も残されており、5月以降の団体交渉で、未回答の解消、有額回答の獲得、ベースアップへの上積みを追求することが重要です。
ベア評価料を確実に賃上げへ
厚労省の回答について解説する森田副委員長
15日には、日本医労連の森田進副執行委員長による、診療報酬改定における賃上げ、特にベースアップ評価料の取り扱いについてミニ学習を行いました。森田氏は、5月までは補正予算の支援パッケージ、6月以降は診療報酬上のベースアップ評価料を活用する仕組みを説明し、「4月・5月の賃金改善を6月以降も維持・拡大させる」という制度の趣旨を、団体交渉でしっかり確認する必要があると強調しました。
厚労省の追加回答では、ベースアップ評価料の収入は患者数などにより変動するため、6月以降の賃金改善水準が結果的に下回っても、給付金を賃金改善に充てていれば返還は不要とされています。一方で、賃金改善に充てられていない部分は返還対象となるため、組合としては、支援パッケージを確実に職員の賃上げに使わせることが求められます。
また看護補助者や事務職員については、他産業との人材獲得競争を踏まえた上乗せ措置であることも確認されました。医療機関側の裁量を理由に不公平な配分を許すのではなく、制度の趣旨を踏まえた適切な対応を求め、届出様式、就業規則、評価料収入の試算などの情報開示を迫ることが重要です。
労基法改悪を許さず週35時間労働へ
労働法制情勢を講演する土井厚生労働局長
16日には、全労連常任幹事・厚生労働局長の土井直樹氏から「労働法制 情勢学習―政府・財界のねらいとは」と題して講演いただきました。
土井氏は、政府・財界が「柔軟な働き方」「労使自治」を掲げながら、実際には労働基準法の最低基準を弱め、長時間労働を広げる方向に進もうとしていると指摘。労基法は、労働時間、有休、休憩、賃金、就業規則など、働く上での最低限の基準を定めた法律であり、使用者に対して弱い立場に置かれる労働者を守るためのルールです。
講演では、「労使コミュニケーション」や「労使自治」という言葉が、団体交渉や労使合意とは異なり、単なる意見聴取に置き換えられる危険性も示されました。協定締結の単位を職場・事業場から本社一括へ広げる動きは、現場の実態を知らないところで労働条件が決められる危険をはらんでいます。土井氏は、長時間労働をなくし、人間らしい生活を取り戻すために、1日7時間・週35時間労働をめざす運動と、職場での学習・署名・宣伝を広げようと呼びかけられました。
各道県で上積み・本給化を追求
各道県からは、補正予算やベースアップ評価料をめぐる交渉状況が報告されました。北海道では4月・5月に月1万円の支給を決め、追加交渉でベア実施を確認。秋田では看護師確保を背景に初任給引き上げを検討し、福島では月9,000円の支給と夜勤手当引き上げが報告されました。
新潟では一律11万円の年度末一時金で妥結し、6月以降の手当継続と基本給組み替えを調整中です。長野では若年層への重点配分や夜勤手当増額、茨城では黒字見込みを根拠に再交渉を予定しています。
熊谷では職種間格差の是正、神奈川では本給反映のベアを要求し、静岡では病院統合問題を踏まえた再協議、愛知では一律支給の協議継続、岐阜では夜勤手当増額と基本給調整手当の導入準備が報告されました。
三重では生活支援を含めベア手当の継続、広島では6月以降も月6,000円を予定し、山口、香川、徳島、高知、大分でも、ベア継続協議や夜勤手当、職種別配分、備品不足改善など、職場実態に根ざした要求が続いています。
26春闘は、単なる賃金交渉にとどまりません。物価高騰の中で働き続けられる賃金を実現し、医療・介護現場の人材確保と地域医療を守るたたかいです。同時に、労働法制改悪を許さず、いのちと健康を守る働くルールを強める運動でもあります。
全厚労は、各道県・各単組の経験を共有し、5月以降も団体交渉、職場討議、署名・宣伝行動を強め、要求前進に全力をあげます。

