6月26日、全厚労看護委員会は厚生労働省との交渉を行いました。看護委員・オブザーバー参加者合わせ28名が参加しました。要請内容は診療報酬改定について、看護師大幅増員の推進、看護師の勤務環境改善と夜勤・交代制労働の規制強化など20項目で行いました
他産業に追いつく賃上げを
初めに、岩本執行委員長より「全国の厚生連病院で人手不足が急速に進み地域医療の確保が難くなって来ていること。診療報酬改定におけるベースアップ評価料に感謝しつつも、物価高騰に追いついていないこと。医療現場の実態を聞き、情報交換と交流を深めてほしい」と挨拶。交渉では、早急な期中改定で令和8年度改定と合わせ10%以上診療報酬を引き上げ、少なくとも5%以上の賃上げが確実になされるよう点数を見直すことを求めました。
厚労省は「物価動向が大きく変動し医療機関等の経営状況に支障が生じた場合には令和9年度予算編成において加減算を含む必要な調整を行う。そのため経営状況について臨時調査を実施予定」と回答。大栗書記長から、低水準の賃上げでは職場の人材流出は止められない、賃金競争力で他産業に負けてしまうことを厚労省はどのように考えているかと厳しく指摘しました。厚労省は「他産業の3年連続賃上げ5%以上と比べて少ないのは分かるが、ベースアップ評価料の届け出をしていない医療機関が半数程度ある。まずは取ってもらうこと」と答えました。
参加者からは「経営者は3・2%上げていれば良いだろうと、それ以上踏み込めていない。どこも赤字の状況で、ベースアップ評価料の中でしか上げられていない」ことを訴えました。また一時金で赤字調整されている実態や、人勧準拠している国公立病院等と比較し賃金面で厚生連が看護師を確保することが難しく、経営実態だけでなく賃金や人件費率も調査してみてほしい旨を伝えました。
また、岡野書記次長は、「ベースアップ評価料が手当支給となり退職金に反映していないこと。半数程度しか申請がないというのは、診療所の数が大きく、それによって賃上げにブレーキをかけないでほしい」と訴えました。

減算でなく「加算」に見直しを
参加者から令和8年度診療報酬改定で患者の身体的拘束最小化に関する取り組みの「体制」「実績」がない場合に減算対象とされることについて、看護師の慢性的な人員不足や患者の高齢化・重症患者増加により身体的拘束は完全に回避することが困難な状況にあり、現場の疲弊を進めている措置について再検討を求めました。
厚労省は「身体拘束について現場の状況によって選択せざる得ないことを承知している」と、診療報酬上どのような基準のあり方が望ましいか見守りの人員や身体的拘束を減らすための用具の使用状況等により客観的に検討し中医協で議論したいと回答しました。
参加者からは「身体拘束はしたくてしているわけではない。最小化に向けて取り組んでいるが、認知症の方が沢山いる中で夜勤3人となると、どうしても目が離せない。転倒や経管栄養の自己抜去などが起きると看護師にとっても精神的ショックがある。人員配置の加算などを考慮した上で、検討してほしい」と訴えました。
夜勤の実態知らせる
勤務間インターバル制度化の要請では、現在労働政策審議会において議論を行っているとし明確な回答は得られませんでした。一方でインターバル努力義務化から数年経っており、医療現場でどれくらい導入されているかといった質問に、厚労省は「令和7年1月時点で全産業6・9%、医療は6・5%が導入。政府目標は令和10年までに導入企業15%以上」と回答しました。参加者からは早急な制度化と、「勤務間インターバルをとっており、半日勤務免除してほしいが年2回のみ。看護師不足で休みが足りないので勤務免除できないと言われている。自分の年休を使用している」といった実態を伝えました。
夜勤専従者の「144時間」夜勤制限の復活要求に対しては「医療機関等からの要望、就業規則での規定が可能なこと等を踏まえて削除した」との回答があり、新潟の参加者は「病院関係者が144時間の制限を取ってほしいというのは、夜勤専従者を入れたいから。病院は施設基準やルールを守るために夜勤専従を入れている。人を増やさずに夜勤専従で対応している実態があることをくみ取って法整備につなげてほしい」と訴えました。また16時間を超える夜勤の回数目安について厚労省へ質問を行ったところ担当者が答えられない場面があり、参加者は「夜勤1回の勤務時間を短くしたり、夜勤日数の制限を設けないと今いる現場の看護師が続けられない」と訴え、今後も厚労省へ看護現場の実態を訴え続けることの重要性を実感しました。
交渉後のアンケートには、「夜勤協定の144時間夜勤制限の取り下げや夜勤専従について、経営者側の要望が中心となっているように感じました。経営上の都合だけでなく現場の負担や働きやすさにも目を向けた議論が必要であると感じました」「すぐに我々の要望が届かないとしても、繰り返し繰り返し交渉をしていく事が重要だと感じます。併せて『夜勤制限・大幅増員』国会請願署名を増やしていく必要があります。みんなで取り組んで行ければいいですね」といった声が寄せられました。
今年の厚労省交渉も要求項目を看護現場の問題に絞り、医政局看護課の対応時間を確保しました。地方・へき地の看護の実態を伝え、現場に即した制度や政策の為には、継続した要請行動で訴え続けることが重要です。交渉はオブザーバー参加も受け付けています。皆様のご参加お待ちしています。
