26春闘支援金を賃上げへ 手当から基本給へ、次の一歩

物価高と深刻な人材流出のなかで闘われた26春闘。

 連合の最終集計では、定昇込みの賃上げが平均1万6400円5・01%となり、3年

連続で5%を超えました。有期・短時間・契約労働者も時給75・01

円6・18%の引き上げです。一方、医療・介護職場は診療報酬・介護

報酬に収入が左右され、全体相場に追いつけない状況が続いています。

 

 全厚労は、国の補正予算による賃上げ支援を、すべての組織で職員への支給につなげました。

単なる「経営支援」で終わらせず、労働組合が配分を確認し、対象職種の拡大や継続支給を求めたこ

とは大きな意味があります。

 北海道では職種別に月1万5000円〜3万9200円の賃上げと、一部の処遇改善手当の基本

給組み入れを実現。

 秋田は医師を除く職員に1万1000円のベアと若年層の賃金改善、

 長野は世代間調整加算(現行5千円)を月5千〜1万80

00円増額し、深夜・準夜手当を各1000円引き上げました。

 広島は賃金改善手当を月1万5000円に拡充。

 神奈川では事務職初任給を最大8500円引き上げ、

 岐阜では夜勤手当1000円増、有給休暇2日増を獲得するなど、

職場要求を結びつけた前進も生まれています。

 しかし定昇のみ、期限付きの臨時手当、ベースアップ評価料による手当支給に

とどまる回答も少なくありません。手当は一時金や退職金、時間外

単価に反映されない場合があり、制度変更で減額される不安も残ります。

報告のあった夏季一時金は1・5〜2・4カ月と差が大きく、病院経営の格差が、

そのまま労働条件の格差になっています。

 26年度診療報酬改定では、ベースアップ評価料の新たな運用が6月から始まりました。

原資と配分を労使で検証し、支給対象から外れる職種や非正規職員を生まないこと、

そして恒久的な基本給引き上げへつなげることが重要です。

 26春闘の成果を土台に、未解決組織の交渉を支え、秋闘に向けて、安全な医療を守るためにも、

「人への投資」を経営の最優先課題にさせましょう。

 

地域医療の再編住民と職員の声を

 

 国は2 0 4 0 年に向け、人口20万人以上を基本とする構想区域で、

急性期拠点、高齢者救急・地域急性期、在宅医療などの機能分化と連携を進

めようとしています。

 二次救急や不採算地域を支える厚生連病院にとって、再編・集約化は重大な問題です。

病床数や収支だけでなく、住民の受療権、救急搬送、職員の雇用と持続可能な働き方を軸に

検証しなければなりません。地域医療の将来像づくりに、労働組合と住民の声を反映させる取り組みを

強めましょう。

 

26春闘 各地で前進!賃上げ・手当改善を働く仲間のもとへ

 

 国の補正予算やベースアップ評価料を、確実に職員の賃上げへ――。

 全厚労の各組織は、支給対象や配分方法を労使交渉の俎上に載せ、基本給の引き上げ、

手当の増額、夜勤手当や休暇制度の改善などを実現しました。

各地で勝ち取った主な前進を紹介します。

■基本給・継続的な賃金改善

北海道 職種に応じて月額1万5000円~3万9200円の定額ベア。看護・介護の処遇改善手当の一部を基本給へ組み入れました。

秋 田 医師を除く職員に月額1万1000円のベア。臨時・派遣・委託職員も、同額相当の時給引き上げを実現しました。

長 野 世代間調整基礎加算給を月額5千~1万8000円に増額。

茨 城 第二基本給を月額600円引き上げ、ベースアップ評価料手当として正職員に月額1万7360円を支給します。

神奈川 事務職の初任給を月額5413円~ 8500円引き上げ。準職員は月額1650円、パート職員は時給15円の賃  上 げです。

広 島 賃金改善手当を月額6000円から1万5000円へ増額。

■手当・一時金・労働条件も改善

長 野 深夜・準夜手当をそれぞれ1回1000円引き上げました。

岐 阜 有給休暇を年間20日から22日へ増やし、特別休暇も1日から3日へ拡充。

夜勤手当は1回1000円増、夏期一時金2.4カ月を獲得しました。

三 重 物価高騰への対応などとして正職員に一律5万円を支給。夏期一時金は平均2.1カ月となりました。

広 島 再雇用職員には年2回、各9万円を支給します。

山 口 定期昇給に加え、ベースアップ評価料を活用した月額5500円の手当を上乗せしました。

香 川 従来の医療従事者手当に補正予算分を加え、月額1万6100円に増額。

これまで対象外だった職種にも支給を広げました。

 

ドクター山本晴義の心の相談室(20)

多様性を阻む〝無意識の偏見〞

 「アンコンシャス・バイアス」とは、私たちが無意識のうちに持っている

「ものの見方やとらえ方の偏り」のことです。

育ってきた環境や経験の中で自然に形成された価値観であり、誰もが持っています。

 例えば「赤いランドセル」と聞いて女の子を連想することも、その一例です。

バイアスを持つこと自体が問題なのではありません。

気づかないまま「○○だからこうあるべき」と決めつけたり、

自分の価値観を相手に押し付けたりすることが問題です。

 職場では「育児中の女性に重要な仕事を任せるべきでない」

「リーダーは男性の方が向いている」といった思い込みが、

能力を発揮する機会を狭めることがあります。教育の場でも、

2023年度の高校生調査で「理系科目は男性の方が得意」と答えた割合は

男子より女子の方が高く、進路選択への影響も指摘されています。

少し立ち止まり、「これは思い込みではないか」と考える。

その積み重ねが、多様な人材が力を発揮できる社会につながるのではないでしょうか。

焦点Q&A/看護師不足/地域医療が崩壊の危機に

Q 看護師さんのなり手がいないの?

A 日本医労連が行った調査によると、2025年度の年間の退職者数が採用者数を上回ったとする医療機関が52・9%に上った。新規採用者数を満たせていない施設も半数近い45・0%に及ぶ。ただでさえ、人手不足なのに退職者が後を絶たず、医療の質にも影響が出始めている。例えば、「入浴回数が週2回から週1回に減少した」「ナースコール対応が遅れ転倒につながった」「夜勤時にトイレに連れていくことができず、今は『おむつでベッドでして』と言っている」「夜勤時に胃ろう対応ができず、3食から2食に減らして日勤時に対応」などの声が寄せられていた。地域医療は崩壊の危機にある。

Q 深刻だね。どうして?

A 2022年以降、物価高が進み、実質賃金を維持するために従来にない幅の賃上げが社会全体で進み始めたが、医療分野は置き去りにされたままなんだ。もともと基本給は全産業平均より低いうえ、賃金のベースアップもない。医療機関が安心してベアを出せる財源がなく、医療従事者の良心に依存する状態が続いている。さらに夜勤の負担も加わる。16時間ぶっ通しの二交代制夜勤、国の基準を超える夜勤回数など、労働条件は過酷で、4人に1人が流産の経験があるとの結果も示されている。そりゃ辞める人は増えるよ。失政の結果と言わざるを得ない。

Q どうすればいい?

A ケア労働をないがしろにする政治を変えなければならない。まずは診療報酬をしっかり引き上げること。国庫負担の増額が必要だ。戦争の準備に予算を使っている場合じゃない。