× 不利益な取り扱いは禁止されています○
年次有給休暇(以下、有休)を取得した事を理由に賃金を減額したり、査定を低くするなどの不利益な取り扱いは「しないようにしなければならない」と労働基準法136条に定められています。
厚生労働省が1988年当時に出した通達ではその範囲について「年次有給休暇の取得を抑制する全ての不利益な扱い」が対象だとされています。有休取得を理由に、給料の精勤・皆勤手当を支給しなかったり、人事評価をマイナスにして賞与や昇給を削るようなことが禁止されています。労働基準法で定められた権利行使を妨げるような規定はできません。
裁判例でも、有休を不就労時間として稼働率を計算し、80%以下の者を賃上げ対象から外すのは公序良俗に反し無効としたものがあります。一方で労基法136条を使用者の努力義務ととらえて、皆勤手当の不支給を無効とまでは言えないとした裁判例もあります。不利益扱いが有休取得を事実上抑制する効果を持つかどうかが争われています。