2月4日、日本看護協会主催の「日本看護サミット2021」が2015年以来、6年ぶりに開催されました。パシフィコ横浜をメイン会場にハイブリッド開催で、会場に約70名、オンラインで3000人が参加して、「看護職の就業継続が可能な働き方で、看護の未来を拓く」をテーマに1日をかけて様々な識者から多くの知見が示されました。
「提言」を活用して職場改善へ
全厚労でも看護委員・担当役員が多数web参加しました。
その中には既に労働組合では、かねてより「常識」とされることや、夜勤の軽減や時間外労働の削減などの「負担の軽減」を求める一方、「多様な働き方」を認めるなかで、積極的な「兼業・副業」も打ち出されるなど、矛盾を感じる部分もありました。
しかし、日本看護協会が、看護職が働き続けられるための「働き方改革」として、看護職自身の「健康」を全面に打ち出しながら、提言を行ったことは画期的でもあり、労働組合の要求と一致する部分では、積極的な活用や共同の取り組みを進めていくことが重要だと思います。
内容は多岐に渡るものでしたので、少しずつ紹介していきたいと思いますが、それぞれの企画を簡単に報告します。
午前中は、看護協会副会長の秋山智弥氏が「看護職の働き方改革~2015-2020年の取り組みと成果の課題~」と題して、この間、看護協会が「夜勤交代制のガイドライン」や「ヘルシーワークプレイス」など、職場改善へ取り組んできた経過と、今回、「5つの要因、10項目の取り組み」(右図)へとまとめた「就業継続が可能な看護職の働き方の提案」について、説明を行いました。
その後、特別講演として、元厚生労働事務次官の村木厚子氏(津田塾大学客員教授)が登壇。「人が生きていく上でのキーワードとして、①健康、②家族、③学ぶ時間、が大切だ」と強調され、ここでも「健康」が強調されました。患者が、健康になるために通う、入院する病院で、健康でない看護師(医療従事者)に看て(診て)もらうという矛盾はあってはならない、と改めて考えさせられました。
毎日が「海外旅行」の看護の現場
午後からは、「2040年に向けて、いま看護職に求められる働き方」と題して、3人の専門家による鼎談(ていだん)が行われました。石田昌弘氏(看護師・参議院議員)から「これまで夜勤の議論の中で、『交代制勤務の短期不規則性』が正面から論じられることがなかった。例えてみれば日本、アメリカ、ヨーロッパと日々違った場所で勤務することと同じ。時差ぼけでリズムが狂うのは誰でも気遣うが、看護職の勤務は時差ぼけを当たり前としていて信じがたい」と言われたことが印象的でした。
インターバル確保と労働時間短縮
最後に「多様な人材を活かす、多様な働き方」とするシンポジウムが行われました。
過去には全厚労や医労連でも海外視察や国際シンポジウムで様々な国の労働諸制度を学んでいますが、今回の看護サミットでの最後のシンポジウム企画では、日本看護協会から委託を受けた聖路加国際大学の奥裕美教授が、「諸外国の看護職の交代制勤務」について中間報告を発表されました。
調査では特に夜勤の長さや、昼夜勤務遷移時のインターバルについて、各国のガイドラインが紹介されました。今年の3月までには報告が出されるとのことですので、期待していきたいと思います。
(このページの記事は今後、内容を加筆、リンクを設けるなどして情報を追加していく予定です)