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看護委員会

1日目の分科会の風景(上・中上)、夕食懇親会での遠州大念仏(中下)、講演する今泉清保さん(下)
◆ 2012.10.10

第26回幹部・看護師集会を浜松で開催、244名が参加


明るく元気で働き続けられる為にみんなで声を上げよう!

 10月5~6日、静岡県浜松市のグランドホテル浜松にて、全厚労第26回幹部・看護師集会を開催しました。20県組織から244名の組合役員や各病院の看護委員などが参加しました。

日本看護協会の方針や厚労省「5局長通知」を活かして看護職場の改善を
 集会の基調報告では、「25歳の村上優子さんや24歳の高橋愛依さんが過労死認定されたことをきっかけに、日本看護協会が看護職の労働実態調査に取り組み、看護職の労働条件・労働環境改善に向けて、労働組合との連携を提起してきたこと、日本の医療・社会保障を支えていくためにも、健康で生きがいを持って働ける看護職場への改善が必要と、政府・厚労省が、看護師の「雇用の質」の向上のための取組についての『5局長通知』を発出したことなど、このような情勢を追い風に、みんなで声を上げて、働き続けられる職場にしよう」と呼びかけました。
 また全厚労の大会方針で「看護職を中心にした労働条件改善」を重点目標として、12秋闘でも10~12月を「看護職場改善・労基法違反一掃月間」として取り組むことを提起しました。

「サービス残業なくす」取り組みと「ゆとりある勤務表」づくり
 特別報告として2本を紹介。ひとつは、新潟県厚生連労組が作成した「夜勤協定のたたかい」を学ぶDVDと昨年秋と今年の夏にも行っている「サービス残業改善月間」の取組について、時間外申請率を上げてきたことを報告してもらいました。DVDでは、44年前に民間病院で初めて「夜勤協定」を獲得した新厚労のたたかいの歴史とともに、現在、科学的知見として明らかになっている「夜勤の有害性」の問題や、各病院の看護委員の意気込みなどが紹介されています。
 二つ目には、福島県厚生連労組が取り組んだ「ゆとりある勤務表づくり」で、「勤務間隔12時間以上キャンペーン」の申し入れで、日勤・深夜の勤務パターンを減らして、半日深夜、休み深夜にシフトさせたことや、県の労働局や県厚生連に粘り強く掛け合って、「労使合同」での5局長通知の研修会を行わせたことについて、報告していただきました。

「働きやすい職場づくり」「夜勤協定・夜勤制限」「初心者コース」でグループワーク
 その後は、6つの会場に分かれての分科会・分散会を行いました。分科会として大きく3つに分けて、
 第一分科会では、「働きやすい職場づくり」をテーマに、さらに討論テーマをA=有休取得・リフレッシュ休暇の活用、B=時間外労働削減・サービス残業の一掃で、少人数でのグループワーク中心に討論しました。
 第二分科会は、夜勤協定・夜勤制限問題について。実効ある「夜勤協定」の締結と遵守に向けた運動と、身体に負担の少ない夜勤交替制をどう実現していくかについて、話し合いました。
 最後の分科会は、初心者コースとして、新人~4年目までくらいの人と組合役員として初めてという人を対象に、全厚労で最近作成した「クイズで学ぶ労働者の権利と基礎知識」のパンフなども使って、簡単にミニ学習したあと、こちらでも少人数でのグループで、組合へのイメージや職場での不満や問題について、みんなで意見を出し合いました。

 夕食懇親会では、美味しい食事・お酒とともに、地元・静厚労前書記長の小澤さんのマジック、伝統芸能である「遠州大念仏」が披露され、参加者みんなで楽しいひとときを過ごすことができました。


働き過ぎの看護師さんへ、心からのエールいただいた今泉清保さんの記念講演
 翌2日目は、各分科会からの報告を受けたまとめ集会の後、メインの記念講演。
 青森テレビ報道キャスターの今泉清保(せいほ)さんから、「医療現場の実情を伝えるには」と題してお話をいただきました。今泉さんは、生まれてすぐの頃に全身の血液交換を受けたり、物心つく前から小児癌になったりと医療なしには、いまこの場にいなかったと感謝の意を表されていました。母子家庭で育ててくれた母親に迷惑をかけたくないと、高校を卒業して国立国会図書館に勤めながら、青山学院大学の夜間で学んでいましたが、時はまさにバブル期で、軽い気持ちで就職活動もやってみたいとあちこちの報道機関を受けて、運良く福岡放送に内定。親の老後の事を考えて公務員になったけれども、「やらなかったことを後悔したくない」と報道業界に入ったいきさつを話されました。
 福岡放送勤務時代に、もう少しで劇症肝炎だという状態で国立病院に運ばれ入院した際に、 50床の病棟で夜勤が二人しかいないことを、「スリッパの足音」で理解したことや、ちょうど「長時間2交替勤務」が国立病院に導入されようとしていた時だったことで、「長時間2交替勤務」って何だ?と思ったことなど、医療現場の事を調べるきっかけになった話をされました。
 その後は、ブログなどでも医療問題について発信するようになって、医療問題などの講演にも呼ばれることが多くなり、その中では、日本の医療費が国力に比して先進国の中でも非常に低いことなどを一般の人に話すと非常に驚かれることや、報道業界だけでなく(会社)社会が、「元気な人」が中心になって動いているので、「病気の人」や「社会的立場の弱い人」たちの問題が感覚として理解できないことなどが、病院や看護師さんの問題が世間に伝わらない背景にあると指摘されてました。
 「看護職が大変だ」という実態を伝えるには、地道であっても「知り合いに口づてでも伝えていくこと」や「国の制度として成り立っていることもあるので、地元や地元選出の議員さんたちに直接に働きかけること」をやっていったら良いのではないか、「集会やパレードが効果がないとは言わないが、報道は5W1Hなので、それだけではニュースバリューに乏しい。新聞記者などに現場実態をきっちりと取材して記事にしてもらうのは、文字として残っていくので影響があると思う」などとアドバイスいただきました。
 最後にこれだけは…と、「ダメだと思った時には休んで下さい。身体が一番大事です」と労いの言葉をかけてもらいました。
 参加者らも穏やかな語り口に聞き入り、実体験や記者としての経験に裏打ちされた話で、胸に落ち心打たれた講演でした。




     
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