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医療研運営委員会

写真上から、①シンポでの大戸診療所のみなさん、②大戸診療所祭りの一コマ、③分科会の様子、④第3分科会の寸劇、⑤第4分科会の出し物
◆ 2014.11.28

誰のために、何をするのか?をテーマに~第31回医療研究集会in群馬を開催


 11月21~23日、全厚労は第31回医療研究集会を群馬県磯部温泉で開催、全国11県から105名が参加しました。今回の集会テーマは、「誰のために、何をするのか?」。参加者一人ひとりが自ら考え、声に出し、学びあえる集会になりました。

医療・福祉のプロとして、社会の一員として
 茂原宗一医療研事務局長(全厚労中央執行委員長)が基調報告を行いました。集会のテーマが、2012年の「力を合わせるために」から、13年の「社会の一員である私、現場から出来ること」へ、そして今年は、「誰のために、何をやるのか」と変化発展してきたこと。東日本大震災以後、多くの人々が自ら考え、行動している中で、医療・介護・福祉の現場のプロとして、また社会の一員であることを自覚して、私たちは「誰のために」働き、行動しているのか、そのために「何をするのか」を考えていこうと問題提起しました。

日本初の「住民立の診療所」に学ぶ
 初日は今回の開催地である群馬県にある大戸診療所のみなさんに参加していただき、「大戸診療所の20周年に学ぶ」と題したシンポジウムを行いました。大戸診療所は、14年10月に設立20周年を迎え、この2月には46社の地方新聞による「第4回地域再生大賞・準大賞」を受賞しています。
 大戸診療所は、国立療養所「長寿園」が国の政策により廃止方針が出される中で、地域住民、全医労、医労協(当時)などの廃止反対運動の末、廃止そのものは免れなかったものの、地域住民・労働組合員らが新たな医療施設を作ろうと立ち上がり、出資金の約半分5千万以上を住民が出資して立ち上げた日本初の「住民立の診療所」です。
 シンポジウムでは、全医労時代の廃止反対闘争から、病院事務長を経験してきた今野義雄常務理事を始め、看護師長を務めた篠原恵さん、運転手の浦野さん、リハビリの宮崎さん、栄養士の高橋さん5人が、それぞれの立場・経験から、大戸診療所の理念や取り組みを話していただきました。

4つの分科会で学び考える
 2日目からは、4つの分科会に分かれて交流を深めました。第1分科会「住民と一緒に運動する」では、各地の医療を守る住民運動と医療従事者のつながりを学びながら、今回は特に「地域の交通手段」について取りあげました。
 第2「働くものどうしのわかり合い」では、政府の狙う医療・介護・社会保障解体の流れをミニ学習し、今年の診療報酬改定で現場がどう変わっているのか、それぞれの状況を出し合って相互理解を深めました。後半ではグループワークで一人ひとりの困ったことを出しあっての解決策やお互いの仕事や労働組合に対する思いなどを交流しました。
 第3「病院を地域にひらく」では、病院から地域に足を運んだり、病院へ地域を招く取り組みとしての病院祭やイベントの経験を交流。レポート報告では今年25回目となる鈴鹿厚生病院の病院祭が紹介されました。
 第4「いのちを育む食と環境」では、いま話題となっている「里山資本主義」のスペシャル番組を視聴(NHKホームページで公開されています)し、地産地消の役割や地域経済のあり方、幸せとは?などを考えました。またレポート報告では、佐久総合医療センターでの「いきいきの森」、秋厚労での病院給食直営の取り組みなどを学び合いました。

仲間の大切さ感じた、医療研の人生大半で
 最終日は各分科会のまとめを行い、全体集会で各分科会の内容が報告されました。第2分科会の報告に立った看護助手の方は、自らが病気になって病院にお世話になる中で、これまで「不良」の生き方をしていた自分にも役に立てることはないかと、看護助手の道を選んだことや集会に参加して「仲間」に支えられていると感じたことが話され、参加者の涙を誘いました。
 また集会の全体まとめに立った秋田の鈴木土身さんは、医療研31回のうち、30回に参加、運営委員として、そして15回目から事務局長として関わってきたこと、「自分も医療研に救われた一人」として、「医療研運動」の大切さを語られました。

参加者の感想より
★基調報告
○サブテーマ「誰のために、何をするのか?」、みんなで意見を出してみんなで考えていくこと、仲間がくれた「大切な時間」を大事に使おう…簡単でもあり、難しいことである、良かったです。
★シンポジウム
○地域住民のニーズに沿う医療ができ、それを何十年と続けられている大戸診療所はすごいとしか言いようがなかった。医療のあり方(過疎や高齢化の進む地で)を考えることが出来た。
○へき地の診療所の経営の大変さが良く分かりましたが、みなさんとても笑顔でやってらっしゃって、それが支えになっているような気がしました。自分の働いている施設でも人事ではないので、利用者への送迎などは、是非取り入れてほしいです。(長野)
★分科会
○地域の交通手段という今まで問題視していなかった患者さんの交通手段を改めて考えていく必要があることを実感させてもらった。「医療は住民のもの」基本理念をもう一度考えてみます。取り組んでみます。(埼玉)
○違う職種の人たちの状況、大変さが話を聞くことで理解できた。グループワークで色々話をする中で、前向きな気持ちになれて、話をすることはやっぱり大切なんだと思いました。忙しい業務の中で、ゆっくり話をすることは難しいけれど、後輩に声をかけていきたいです。(広島)
○各県の現状を聞け、同じ状況であることを知りました。現状にため息をもらすのではなく発想の転換、前向きな考え方に切り替えて、良い環境づくりをしていきたいと感じました。“誰のために…”私達の患者さんの為…を原点忘れることなく余裕な接し方をしていきたいと思います。(秋田)
○他の地域で行っている活動を知ることができて勉強になりました。どんなアプローチが有効かはその地域の特徴で違うかもしれませんが、考える良い機会になったと思います。継続していくことの大切さも学びました。とても良いテーマだったと思っています。(茨城)
★全体通して
○こんなに楽しいものとは思いませんでした。また来たいです。(三重)
○他県(他病院)から見ると「良い取り組み」に見えるけれども、自分たちではそれほど意識していないことが、多々あると思った。活動を見直して医療研でレポートして再評価できるようにすると、もっと活動が楽しく、そして広がると思った。(茨城)
○泊まりでの集会は初めてで、どんな固い集会か不安がありましたが、皆を飽きさせないようにする企画などして頂いて、楽しく職場に戻ってから仕事頑張れる!と思わせて頂ける集会でした。(埼玉)




     
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