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(上)日本看護協会前会長の久常節子さん(下)参加者からの豊富な発言で内容の濃い学習会になりました
◆ 2014.02.25

秋厚労・横手で県南医療学習会を開催


看護師 働き続ける環境を

久常節子さんお招きして学習会
 去る2月15日(土)、横手を会場に「県南医療学習会」を企画したところ、風雪で新幹線が大幅に遅れ、講師の久常節子さんの会場入りは講演終了予定時刻のさらに後。ほとんどの参加者は帰りましたが、残っていた数人と約1時間「懇談の場」を持ちました。短時間ながら、参加者の発言が豊富だった事もあり、内容の濃い学習会となりました。

終了時刻になったらピシッと仕事を終えて帰る国へ
 今回の学習会のテーマは「世界の視点で見た日本の医療・看護」。「懇談の場」でも、久常さんは国際会議等で感じた「世界と日本の違い」を話してくれました。特に、看護師の「労働時間・勤務間隔・基本給」などが象徴的で、日本は、世界の中では、むしろ「特殊な国」と受け止められています。
 例えば、多くの日本の看護師がオーストラリアに流出していますが、その理由の一つは「終了時刻になったらピシッと仕事を終えて帰る」こと。残業が当たり前になっている日本は「労働時間の感覚がおかしい」と見られています。ちなみに、オーストラリアでは、腰痛を予防するため、「持ち上げて良い重量」が定められているなど、あらゆる場面で看護師が守られています。

患者さんにも危険が
 同じようなことが「勤務間隔」でも言えます。勤務と勤務との間を、ILOでは12時間、EUでは11時間以上あけるとしています。しかし、日本では日勤後に残業し、夜勤準備で早めに出勤。そのわずかの間に家事をこなし、まったく休めていません。ただでさえ夜勤が看護師の心身をむしばんでいることに加え、ボーッとして仕事をするため、患者さんにも危険が及んでいます。さらに勤務明け看護師の交通事故も少なくありません。
 さらに、日本の民間の看護師の賃金は、最初は良くても、「賃金カーブ」が緩み、最終的には医療職の中で最低クラスになっています。

労働組合と看護協会が力合わせて
 看護師が働きつづけるためには、今の異常な労働環境を根本的に改善する必要があります。久常さんは、そのためには「労働組合、看護協会など、関係組織が力を合わせるべき」と説きました。
 日本で、努力義務ながら「勤務間隔」が定められているのはバスやタクシーです。それは、「労使の合意」があって達成したもの。医療は、まだそこまで達していません。
 ヨーロッパなどでは、労働組合が強く、看護協会と表裏一体の関係で運動しているそうです。

情報こそ武器
 また、看護師にとって、「情報こそ武器」だと強調。自分がどういうところで働いているか客観的に見えるようにするため、全国の医療機関の「労働条件マット」づくりも提唱しています。
 さらに、久常さんは、看護師に「辞めないように」と呼びかけました。一度辞めると技術が見えなくなるので、辛くなったら「短時間正職員制度」を使って踏みとどまること。なお、今回の参加者の中には、同制度を申し出たものの病院から拒否された人もいて、懇談全体がいっそう熱を帯びました。

(秋厚労ニュース1483号(2014年2月20日発行)より)




     
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