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画像1・2【記念講演】長友薫輝先生 画像3・4【特別報告】伊藤真美 画像5・6集会の様子
◆ 2016.06.21

社会保障と人の命を守れ
千葉市民会館に500人 
第43回医療研究全国集会in千葉


データに基づく対抗で社会保障解体を止めろ
 6月10日、千葉市民会館大ホールで「第43回医療研究全国集会in千葉(主催:同実行委員会)」が開催されました。
記念講演では、「社会保障解体攻撃への対抗」~医療保障と平和主義の一体的関係~
と題して、長友薫輝先生(三重短期大学教授)にお話しいただきました。
講演は、「現在の社会保障制度改革で、社会保障は国民の自己責任にされている。これは社会保障ではなく、政府が責任を逃れ 国民をだましている」とはじまりました。「プログラム法によって着々と改革が行われ、自己責任と助け合いを強調し、それでもダメな場合は仕方なく公助するというしくみは、社会保障ではなく虚偽の説明」と語られました。「本来、社会保障とは、病気、貧困、失業など、自己責任ではどうしようもない問題に対して、家族や地域の助け合いでも対応できないからこそ生み出された仕組みなのに、自己責任や助け合いに還流するのは歴史的逆行である」と説明されました。
 また、このような社会保障解体に対抗し制度を充実させていくためには、科学的な事実やデータを裏付けとして示していくことが重要と話されました。その例として厚生労働省の「平成22年国民健康・栄養調査」のデータを挙げ、所得格差拡大で、健康格差が拡大していること、それが全体の健康度の低下に繋がると指摘されました。健康の格差をなくし、正すためには、社会保障にお金を回すことが大切で、社会保障に国の予算を使うことは決して無駄ではありません。社会保障を充実すれば、経済波及効果や雇用誘発効果があり、公共事業など、他の産業よりも効果がある事が『平成20年度版 厚生労働白書』にも記載されているという事実を語られました。
 このように社会保障に対する救貧的思想から脱却し、科学的な事実に基づいた認識及び政策的対応を求めていくことの大切さを学びました。

すべての患者に緩和ケアを
特別報告では伊藤真美先生(花の谷クリニック院長)が、「緩和医療の臨床からアベNO THANK YOU!まで」をタイトルにお話しいただきました。
先生は、日本の緩和ケアの歴史と変遷について「70年代の施設内医療に反動したホスピスムーブメントにはじまり、80年代は安らかな最後を目指すホスピスケア・ターミナルケア、90年代には緩和ケア病棟が増化。そして2000年代にはガンとの共生を支える緩和医療の選択の時代となり、2010年には、多様化する療養場所での非癌疾患を含めた緩和医療の時代となった」と説明されました。
このような流れの中で患者さんの声にも変化があり80年代頃には、「ホスピスに行きたくない。見放された思いだ。」との声が多く、2000年代には、「病院はもういやです。延命治療はしないでください。緩和ケアを受けたいんです。」という人が増え、ここ数年では「今の病院は3ヶ月たったら出なきゃいけない規則だそうです。進行癌ですから緩和ケア病棟に相談に行ったのですが、まだ早い、今の抗がん剤内服治療を中止してからではないと受け入れられません。在宅が無理なら介護施設や療養型病院などへ相談に行くようにとリストをもらいました。」という患者さんが増えたと語られました。
「がんと共に生きるのを支えることが緩和ケアであり、決して終末期だけではなく、すべての時期で緩和ケアを継続する必要がある。また、癌に限らず、人がこの世に生まれてから、できるだけ健康に暮らしていくことを支えるための医療が分断され、私たちの生活の安心から遠いところへ行こうとしている。」と、述べられました。
「経済成長最優先安全軽視の原子力発電を進めてきた結果、起きてしまった原発事故から私が一番感じていることは、効率化、一律化、経済性を優先することの理不尽さであり、医療や介護の現場で、それを必要とする人から求められることは、効率化、一律化、経済性から一番遠い所にあるものである。だから制度は、目指すものではなく、最低保障を支えるものであって欲しい」と話されました。そして、「最近は延命が悪いことのように言うが、しっかり延命して緩和ケアを受けて良い状態で長生きして欲しい。」と述べられました。
最後に、「人の命より、経済や国家を優先する思想を、私は『アベ的なるもの』と名付けました。『アベ的なるもの』はひょっとしたら、私たち一人ひとりの心にもあるかもしれない。だからこそ、自身の心に向かっても、『アベ的なるもの』NO THANK YOU!格差社会が進み自分が裕福な方に入ったらそれでいいっていう自分の心にNO THANK YOU!」と話され終了しました。






     
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