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写真上から、畑中執行委員長挨拶、久喜地域住民の会の渡邉氏、熊谷住民の会の齋藤氏、学習講演の長友先生、論点提起を行う鈴木氏、以下集会の様子
◆ 2016.11.22

地域医療を守る運動を学習
全厚労第33回医療研究集会開催


 11月18日~20日に全厚労医療研究集会を埼玉県熊谷市で開催、全国から112人が参加、地域医療を守る運動や病院M&Aについて学ぶと共に、交流を深めました。埼玉県開催には、全国厚生連労働組合の仲間である埼厚労の2つの病院が譲渡された経緯があります。全厚労としての全国的な支援と、忘れてはならない教訓、そしてこれからの地域医療運動にその教訓から学んだことを活かすという目的がありました。
 集会では、冒頭、畑中剛喜執行委員長が挨拶、「全厚労の仲間として埼厚労をこれからも支援していきたい」と強調しました。安本真理子医療研委員長、茂原宗一事務局長が基調報告、続いて展望報告として、久喜地域の医療を考える会の渡邉浩明代表世話人と、熊谷地域の医療を良くする会の齋藤健代表世話人から地域医療と住民のかかわり方や、これからの運動などのお話を頂きました。学習講演では、長友薫輝先生(津市立三重短期大学)から「病院M&A」とその背景について学びました。2日目は、鈴木土身運営医委員から1日目のまとめと論点提起があり、4つの分科会に分かれ、各テーマで議論を深めました。
 第33回医療研究集会については、全厚労ニュース442号の12月・1月合併号に詳しく掲載されます。学習講演の内容について全厚労ニュースでは病院M&Aを中心に掲載させて頂いておりますが、掲載しきれなかった学習講演の医療費抑制政策や、地域医療構想、地域包括ケアシステムについて紹介します。以下学習講演要旨です。

医療費がかさんで潰れた国はない!
 1980年代の頃から続いている医療費亡国論という考え方にたった公的医療費を抑えるという政策があります。高齢化が進むことにより医療費が増える。そうすると国の予算を圧迫するから、医療費とか介護保険の費用とかを押さえないと行けないという考え方で、今でも非常に根強い考え方です。
 当時の厚生省の方が提唱した考え方がずっと続いていますが、医療費がかさんで国が潰れた例なんて一つもありません。それはなぜか、必要な医療費はそこにお金を回すしかありません。そうすることによって、お金が回る仕組みになっています。医療費亡国論は具体的ではなく、みなさん自信を持って賃金を上げるとか、労働条件の向上の運動をして欲しです。

医療を金儲けの道具にするな!!
 地域医療構想・地域包括ケアシステムは、医療費抑制をやめるのではなく次のステージに入るという段階になりました。ますます公的医療費の抑制が進み、個人の自己負担を増やし、国が医療に対するお金を押さえます。さらに、考え方はM&Aと同じで医療の市場化です。「医療・介護で儲ける分野」という考え方で、そうすれば国が出すお金が減るだろうとの思惑があります。医療現場で地域医療構想を知らない人も多いと思います。
 地域医療圏ごとにベッド数を決める、それ以上は認めず、ベッド数を押さえることによって医療費が伸びないようにしようということをやっているのが地域医療構想です。これは2018年から本格的に始動します。

患者を川上から川下へ流すような政策!!
 また、病院のベッド数をコントロールすることで医療費を抑制し、病院から患者さんが追い出される。それを市町村でやりなさいというのが地域包括ケアシステムです。まるで川上から川下へ患者さんを流すように(添付ファイルを参照)。川に患者さんを流しても、受け止める体制が地域にありません。これを2年でやれと無謀な事をはじめようとしています。そうすると受け止められないで海に出ちゃう人が出て来ます。介護殺人や介護自殺などさらに深刻な状況をまねきかねないシステムです。医療・介護の市場化を進め、お金のある人しか満足する医療が受けられなくなる。高齢化社会に見合った予算を国に出すよう、地域と一体となり、運動していきましょう。




添付ファイル 講演資料 地域包括ケアシステム.pdf



     
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