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上から、本文中の「表」憲法、「図」労働組合が声をあげないと押しつぶされる、中田進先生、大学の講義のような授業様式の講演、全体会の様子、女性第1分科会の様子、女性第2分科会の様子
◆ 2018.06.20

知って知らせて組織しよう

18労働学校・女性分科会を東京都神田で開催!!


 全厚労は、6月8〜9日、東京・神田で「18労働学校・女性分科会」を開催、全体で102名(労働学校57名、女性分科会45名、助言者等含む)が参加しました。女性集会を労働学校の中の企画として位置づけて2回目で、今回は外部講師を積極的に活用して様々なテーマで幅広く学習しました。

「知は力」を実感!
 

主催者あいさつで、畑中剛喜中央執行委員長は、社会問題化しているパワハラやセクハラの話題について触れ、「福島でのパワハラ裁判を始め、ハラスメント対策が職場の緊急課題となっている。法律や指針等も活かして、風通しの良い明るい職場を作っていこう」と呼びかけました。
 初日は、全体の共通企画として、関西勤労者教育協会の中田進先生を呼んで、「医療労働者の生きがい・働きがいと労働組合」と題した記念講演を行いました。 関西弁で繰り出すテンポの良い「中田節」と呼ばれる先生の話術と、レジメに書き込みを誘導する「授業形式」で、参加者は楽しく情勢や労働組合の大切さについて学び、文字通り「知は力」とする事ができました。
 多様なテーマで学習 その後は労働学校と2つの女性分科会に分かれて進行。労働学校は初日の「経営分析の基礎と財務諸表の見方」を西銘秀実さん(日本医労連民医連部会・部会長)、翌日は「コミュニティー・オーガナイズ(CO)で仲間を作り、要求を実現しよう」を名取学さん(全労連事務局員、COファシリテータ)を講師に、学びを深めました。
 第1女性分科会では、基礎学習を東京労働局雇用環境・均等部の大高和久里さんに「セクハラ、マタハラ対策の基礎を学ぶ」として、パンフや行政指針等を使って解説していただきました(3面で詳細記事)。 第2女性分科会は、基礎学習で「LGBTからジェンダー問題を学ぶ」として、前衆議院議員の池内さおりさんに、世界から見ても格段に遅れた「ジェンダー(社会的・文化的性差)」格差の実態や問題点などを話していただきました。

「知は力」 学習こそ組合の力に 

 18労働学校の記念講演では「医療労働者の生きがい・働きがいと労働組合」と題し、関西勤労者教育協会副会長の中田進先生にお話いただきました。「労働組合があると無いとでは大違いです」と始まった講演は、働く事と労働組合の関わりを参加者にわかりやすく、面白く伝えて下さいました。(以下講演より)

働きがいは健康でこそ
 

 労働組合があれば働きがいが生まれます。働いて嬉しいとなれば生きがいが生まれてくるのです。長時間働いて人も少なくて休みも取れなければボロボロになります。そのような状態では働きがいはありません。働くスタッフ・自分自身が健康でこそ良い医療が出来るのです。だから労働条件が大事です。どこの職場にも今の労働条件があると思ったら大間違いですよ。労働組合の先輩たちが勝ち取ってきたから今の職場の労働条件があるんです。
 しかし、いつまでもあると思ったら大間違いです。守っていかないと壊れちゃいます。せめて今の労働条件は守ってください。組合は役員がいて初めて組合なんです。だけど、結婚して子供が生まれて家事をしながら役員をやるのはとても大変ですよね。絶望的です(会場笑い)。でも、役員がいないと組合は潰れてしまいます。だから是非役員になってください。役員になったら必ず3年はやってくださいね。3年やればやみつきになります。そして全国の仲間と知り合う事ができます。

「役立つ事」「成長」「生活とお金」3つそろって「働きがい」

 働くという事は何でしょうか?3つあります。
 1つは「役立つ事」、2つ目は「自分自身の成長」、3 つ目は「生活」、そして「お金」です。「役立つ」ためには「技術」、「知識」が必要です。あと1つ必要なんですが、何が求められると思いますか?(隣の人とディスカッション、体力や健康という意見が出ました)役立つためには「愛」が必要なんです。
 私の働く看護学校で生徒と一緒に患者さんに「どんな看護師がいいですか?」とアンケートを取った事があります。「処置が上手い人」などの回答が多いと思ったら、トップは「明るい人」でした。気持ちわかりますよね。暗い人が出てきたら最悪です(会場笑い)。
 上の3つをセットで働いたら「働きがい」になるんです。しかし、悲しいことにここには社会の仕組みが関わっています。私たちの働く向こう側に「利潤最優先」という「儲けばっかり」の考え方「資本主義」という仕組みがあります。2005年に107名が死亡、562名が負傷した「JR福知山線脱線事故」がありました。事故を起こしたJR西日本の詰所の一番に「稼ぐ」があるんです。普通は「安全」でしょ。「人を運ぶ」 JRでさえ儲ける事が目的になっているんです。

法人税減税の「穴」を消費税で穴埋め


 私たちは財界が経済を握っている資本主義の中で生きています。国民から吸い上げた税金を何に使っていると思いますか?今皆さんが働いている医療機関は国の予算と深く結びついています。与党は財界と深く結びついていて、たくさんお金をもらっています。その見返りで与党は法人税をどんどん安くしていきます。
 法人税の減税で空いた穴を国民から「消費税」をとって穴埋めするんです。だから消費税は社会保障に回らない。皆さんのお給料、労働時間、人数、これらは全部医療の予算から出ていますが、ずっと削られ続けています。なぜですか?赤字だから。なぜ赤字?それは、まともに財界・企業から法人税を取らないからですよ。
 医療現場のベッド追い出し等の問題も全て医療制度が改悪され続けているからなんです。予算が削られ、それに合わせ制度が改悪されているんです。そんな中で働く労働者は働きがいも生きがいも奪われていきます。
 ここまでわかればどうしますか?たたかうしかないですよね。しかし、1人では到底たたかえません。ここで「労働組合」です。組合は本当に大切なんです。あると無いとでは大違い。有給休暇一つ取っても組合があるかどうかで違います。組合がないと休みがとれません。
 組合って医療の邪魔、経営の邪魔をすると思っている人がいますがそれは違います。組合の原点は「患者さんのために良い医療がしたい」ということです。元気で優れたスタッフがたくさんいたら安心・安全の医療ができるんです。

医療の予算削減・制度改悪は憲法違反

 憲法25条(表)では「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が保証されています。ここでいう「健康」は心も体も両方です。心を元気にするためには文化が必要。だから「文化的」という言葉が入っているんだそうです。今自分の心をわくわくさせる文化は何ですか?(隣の人とディスカッション、会場からはコンサートや映画などの意見が出ました)文化を楽しむにはスポーツ観戦やコンサートなどお金が必要ですよね。それが、次の文にしっかり書いてあるんです。「最低限度の生活」とは生活保護のことです。だから生活保護をもらっている人はコンサートに行けるくらいのお金をもらえて当然なんです。「社会福祉」は児童福祉と生涯福祉、「公衆衛生」には病院が含まれます。そして「向上及び増進」は「予算を増やして制度を良くしなさい」ということです。誰が?今の与党です。まったくやっていないんです。どんどん予算を削っているんです。だから今の安倍首相は明らかに憲法違反ですよ。25条違反なんです。

何をするにも知識が必要

 憲法は全てつながっています。99条を見てください。権力を持つ人が憲法を守るように書いてあります。素晴らしいでしょ?日本国憲法の99条は本当に素晴らしいです。総理を含む大臣、国会議員らは「戦争放棄」、「基本的人権」「個人の尊重」「生存権」全て守らなければいけないのです。27条を見てください。「賃金」、「就業時間」「休息」、こんな事も書いてあるんです。しかも法で定めなさいとあります。それが労働基準法です。
 資本主義には次のような法則があります。財界は利益に狂って「賃下げ」をします、「時間を長く」します、「人員削減」をします。これが資本家です。ほっといたら規準は守りません。8時間以上何時間でも働かせようとします。だから組合が「賃上げ」、「時間短縮」、「増員要求」、こういうことをやらないと27条は書いてあるだけになってしまいます(図)。どうやったら出来るか?そこで労働組合なんです。つまり団結です。そこまで憲法には書いてあります。28条を見てください。団結する権利、団体交渉する権利、団体行動(ストライキ等)を憲法は保障しています。
 労働組合の任務は経済闘争・政治闘争・思想闘争(学習・教育)です。使用者との経済闘争は当然ですが、医療は国の予算が大きく関係しています。予算は内閣で原案が作られ、国会で決まります。だからこそ、「そんな予算おかしいじゃないか!!」と声をあげる政治闘争が必要です。だけど政治や政策はわからないですよね。だから思想闘争が必要なんです。はっきり言ってたたかう事はとても大変な事です。団体交渉するにもすごい知識が必要でしょ?知識が必要なんです。「無知は無力」なんです。大阪弁で言えば「アホはアカン」です(会場笑)。反対に「知は力」。知識があれば組合も強くなり人も増えます。だからしっかり勉強し、組合を強くしていきましょう。





     
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