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◆ 2021.02.16

女性の声を今こそ発信しよう(第1回女性委員会・学習講演から)


 1月29日第1回女性委員会を開催し、各県女性部の活動交流や今年度の6~7月の母性保護月間での取り組みについて議論しました。ミニ学習会では現在全労連専任オルグで、全労連副議長・女性部長も務められた長尾ゆりさんをお呼びし、コロナ禍で浮き彫りとなったジェンダー差別についてお話し頂きました。(以下講演内容)

一人ひとりの声を大切にすること
 いま日本の女性労働者の6割が非正規雇用で、コロナ不況の雇用の調整弁として切り捨てられています。昨年春から解雇・雇止めなどの相談が増え、その中で新しく労働組合が出来ています。新自由主義で福祉・医療は自己責任が強調され「助けて」と言えない社会が作られています。自助や自己責任を押し付けられるのでなく「おかしい」と声をあげることを全労連女性部では「変えるリーフ」を作成し呼び掛けています。一人ではできないこともみんなで声をあげることが、労働組合の出番だと思います。
 ジェンダーとは、「男らしさ」「女らしさ」など作られた性差のことで、ジェンダーフリーの社会を目指すことは男女の問題を超え、一人ひとりが人間として大切にされる社会を目指すこと。これは組合の理念にも繋がっているのではないでしょうか。

女性の活躍する世界を
 2019年の日本のジェンダー平等度は153か国中121位、国会議員の男女比率は193か国中165位と、女性が活躍する世界の流れからは置き去りにされています。コロナ対策が進んでいる国々の中には、ドイツ、アイスランド、フィンランドなど女性首相の国も多く、ニュージーランドでは子育て中のママが首相をしています。ノルウェーの女性首相はコロナについて子供のための記者会見の時間をつくり、優しい言葉で説明を行いました。コロナ対策が進んでいるのは女性首相だから…というよりも、女性が多く議会に入って多様な意見が交わされることで国民目線のコロナ対策ができるのではないでしょうか。
 日本は、国連女性差別撤廃委員会から様々な勧告を受けていますが、日本政府は無視し続けています。労働の分野では、賃金差別があること、家族的責任を負っており女性がパート労働に偏っていること、保育施設が足りないこと、セクハラ禁止と制裁の法制化を行うこと、また労働監督を強化することなどを含む7項目が強く指摘されています。労働組合の要求と国連の勧告は一致することが多く、私たちの要求こそが国際水準で、日本政府のほうが非常識だということです。政府の態度を変えさせる運動が重要だと思います。


日本のストライキは女性から
 日本で初めてストライキが起きたのは、労働組合ができる前の1886年(明治19年)に山梨県甲府の雨宮製糸工場で女工さん達が行ったのが始まりです。当時、朝の4時から働き、遅刻は厳しく言われ給料から引かれ、我慢の限界だった女工さんたちはお寺に立てこもり、工場に行きませんでした。女性がストライキをするということから日本の労働運動は始まったのです。その後、戦争への道で労働組合は解散させられ、勝ち取った生理休暇などの権利は奪われていきました。戦後「平和であってこそ権利は守られる」ということが教訓になりました。1945年12月に婦人参政権が認められ、やっと女性は一人の人間として認められました。1946年5月東京都教労(のちに都教組)婦人部結成大会では、男女平等や生理休暇、母性保護の問題、また学校給食の即時実現まで要求にあがりました。婦人部では自分たちの要求に加えて患者さんの要求や子どもの要求など、一緒に実現していこうという伝統になったと思います。


ジェンダー平等の視点をもって
 今年度、全労連では初の女性議長が誕生しました。これをきっかけにジェンダー平等の視点が様々な課題に広がっていったらいいなと思います。全労連大会では「最賃が1500円だったら離婚できたかもしれない」と発言された方がいました。最賃がもっと高かったら…自立できる賃金であったなら…、自分の人生が選べることから賃金のあり方を考えてみてください。労働時間を考える時も、子供としっかり話せる時間や勉強をみてあげる時間などを考えてみれば絶対に8時間労働でも長すぎるのではないでしょうか。
 職場で一人が困っていることは、みんなが困っていることです。使用者は団結する労働者が怖いので、声をあげることをやめず、一緒に声をあげていきましょう。コロナ禍のもとで集まることは大変ですが、リモートでの会議やアンケートなどで一人ひとりの生の声を集め、交流する運動が求められています。落ちこまずに、前向きに行くことが女性部の良さだと思います。一人ひとりが大事にされる社会を子供たちに手渡していくために、手をつないで運動していきましょう。




     
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