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◆ 2021.05.20

労働基準法Q&A・詳細解説⑤ お昼休憩が取れませんでした!


Q.お昼の休憩時間は1時間とされていますが、実際には業務が忙しく、30分取るのがやっとです。残りの30分の扱いはどうなるのでしょうか?

A.休憩時間に働いた時間は、労働時間であり、使用者はその分、所定時間外労働としての賃金を支払う必要があります。管理者はまず休憩時間を取れるように時間管理を行う必要があります。

――労基法34条では、1日の労働時間が6時間を越える場合には45分間、8時間を越えるときには少なくとも1時間を休憩時間として与えなければなりません。通常は所定労働時間が7時間半でも、残業で8時間を越える可能性が高いことから、常勤では一般的に1時間休憩のところがほとんどです。労基法34条違反は、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金で労基法では重い方の罰則です。
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 ここからが詳細解説です。
休憩についての労働基準法による規定は以下の通りです。

労基法34条により
 1日の労働時間が6時間を越える時は少なくとも45分を、8時間を越えるときには少なくとも1時間を与えなければなりません。
 また休憩の与え方については、
 第1に労働時間の途中に与えること(途中付与の原則)
 第2に事業所の全労働者に対して一斉に与えること(一斉付与の原則)
  ※ただし、仕事の性質上、一斉付与が難しい職場は、例外が認められる
    保健衛生業(労基法40条、同施行規則31条)
 第3に労働者に自由に利用させること(自由利用の原則)

 1日の所定労働時間が7時間30分だとして、残業などが30分程度見込まれる場合には、休憩時間を労働時間の途中に60分は与えられなければいけないため、就業規則上、もともと60分の休憩を与えているところがほとんどです。
 所定労働時間7時間30分+休憩1時間=拘束8時間30分の中で、定時で帰れたとしても、所定の休憩時間が実際に取れておらず、例えば30分しか休憩できなかった場合、そして休憩でなく、労働時間となってしまった30分に対して時間外手当が支給されなかった場合には、、以下の法律違反が発生します。

その1  労基法34条違反  
 実質労働が8時間でありながら、45分はおろか60分の休憩も取れなかったので、労基法34条違反となります。

その2  労基法37条違反
 休憩時間60分のうち、30分間は労働時間とみなす必要があり、所定労働時間を越えたものとして、時間外手当を支払う必要があります。但し、1日8時間労働を越えない時間については、割増を付ける必要はありませんが、就業規則で「所定時間労働を越える労働時間に対し、割増賃金を支払う」規定になっていれば、労働条件で上回る就業規則の方で支払うことになります。

 上記の34条、37条違反については、どちらも労基法119条により 使用者に対し、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。
 労働基準法は、「強行法規」であるので、例えば30分休憩が取れず、30分早上がりをしたとしても罰則を逃れることはできませんし、休憩が取れなかった分を時間外手当として支払ったとしても労基法34条に定める休憩(45分又は60分)を与えたことにはならないので、労基法34条違反が残ります。

 労働者が、自主的に休憩時間を取らずに仕事をした場合には、どう考えれば良いのでしょうか。
 労働者が指示もなく、超過労働を行っていることを使用者が知りながら、これを中止させずに放置していれば、これを容認したことになり、またその労働の成果を受け入れている場合には、使用者としてこれを承認しているものと見なされるので、使用者責任を負わなければなりません。これは戦前から判例として確立しています。
 行政解釈でも、「使用者の具体的に指示した仕事が、客観的にみて正規の労働時間内ではなされ得ないと認められる場合の如く、超過勤務の黙示の指示によって法定労働時間を越えて勤務した場合には、時間外労働となる」(昭和25.9.14 基収2983号)
とされています。したがって労働者がたとえ自発的であっても、違法な超過労働である場合には、使用者はすみやかに中止させる措置を取る必要があります。
 管理者は、労働者が定時を越えて労働している場合は、具体的に超過労働であることを認識することができますが、休憩時間が取れたか取れないかは、自己申告によることになるのがほとんどだと思われますので、「ガイドライン」にあるように、休憩においても「黙示の指示」と認められる場合には、労働時間として取り扱い、賃金を支払う必要があります。

参考までに静岡県労働局のQ&Aを紹介します。
https://jsite.mhlw.go.jp/shizuoka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/houritu/qanda/jirei06.html

※厚生労働省静岡労働局のQ&Aから
【Q3】     1日1時間の休憩時間を当社では取ることとなっていますが、業務の都合で30分しか取れない場合もあります。この場合、賃金の支払はどのようにしたらよいでしょうか。
【A3】     所定の休憩時間に仕事をせざるを得なかった場合、その労働した時間にみあう賃金の支払が必要です。





     
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