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「もし広島・長崎原爆投下の翌日に新聞が発行されていたら?」と作られた新聞を手にする新聞労連の東海林委員長
◆ 2011.03.07

春闘討論集会・記念講演を聞いて


1月21日~22日 2011年春闘討論集会
「貧困の労働現場と労組の役割~社会的連帯のために~」


新聞労連委員長の東海林智さんの記念講演を聞いて。


 東海林さんは講演の中でしきりに「見て見ぬふりをしてはいけない」ことと「声を上げなければ認めた事になる」ことを強調して、声を上げていく事、地域や労働者同士が連帯して闘っていく事が大切であると話されていました。


○JALの整理解雇は「しょうがない」のか
 JALでは希望退職の目標1500名に対して1706名(12月1日時点)が応じたのにもかかわらず、病気療養や育児で休職している方を1人と数えず0.2とか0.5と数えて基準に達していないと12月31日付で165名の整理解雇に踏み切りました。対象者も機長55歳以上、副操縦士48歳以上、客室乗務員53歳以上など年齢で一律にしたり、飛行機の安全な運行のために取った正当な病気休暇を理由したりするなどこれまでの整理解雇4要件で求められてきた基準をことごとく無視した行いです。この暴挙に対して労働組合として反対の姿勢を示さなければ黙認したことになってしまいます。





整理解雇の4要件~


これまで闘われてきた裁判例の積み重ねとして4つの要件が整理解雇の正当性を判断する基準として上げられています。全てを満たさない場合、解雇権の乱用として無効となります。


    人員整理を行う経営上の必要性があるか


    解雇を避けるための努力がなされているか


    解雇をされる対象者の選定基準が妥当であるか


    事前に従業員側に対して充分な説明がされたか



 



 



 


 


「JALはいま経営再建中なのだから仕方ない」という見方が仲間の中からも言われることがありますが、最高裁判例(山田紡績事件)で企業再建中でも整理解雇4要件は適用されるとされています。JALでの整理解雇は巡り巡って私たちの雇用を揺るがすものです。非正規労働者と正規労働者、公民労働者と民間労働者など今多くの場所で分断がされていますが、この労働者同士を分断する意識を断ち切って連帯し、雇用ルールの確立を訴えていかなければいけないと感じました。



○“究極のモノ扱い”派遣労働の広がり
 1999年に労働者派遣法が改正されて、非正規労働者が増えていて、若者や女性労働者の2人に1人が非正規という状況です。10年もの長い間、派遣労働がのばなしにされ、今の経営者のモラルの崩壊が顕著になってきています。労働者派遣法の本質、人をモノとしてしか扱わない人の使い方が企業を狂わせてしまいました。
日比谷の年越し派遣村は2008年末の大量の派遣切りに対して取り組まれました。それまでは盆・暮れに首切りはしないという最低限の暗黙のルールがありました。「正月くらいは失業して迎えたらかわいそうだ」「お盆くらいはゆっくり過ごさせてあげたい」と人が働いているという意識がありました。派遣労働者を寮から追い出して「この人達は明日からどこで暮らすのか」、「この年末に仕事を失ったらどう飯を食っていくのか」人として見ていたらちょっとは考えることでも、モノとして扱っているからあんなことができるのではないでしょうか。
 労働者派遣法が改正された当初、ある派遣会社では「10分でお届け」「1週間お試し期間」というキャッチコピーを使っていました。「人を人と思わない、まるでピザの配達や化粧品の試供の様」な使い方をこれから先も続けてはいけないと痛感します。



○残業代減らし・名ばかり管理職
 対して、過密・長時間労働による過労うつや過労自殺が増えています。
トヨタ自動車では過労死裁判が行われましたが、遺族に「奥さんは明日から正社員、息子さんも将来トヨタで働いて下さい。その代わり過労死の申請はしないで下さい」と言っていたそうです。過労死裁判で業務外とされていたQCサークル活動が業務であると認められましたが会社は「仕事ではない」「自己研鑽だ」「仕事が終わっても残って雑談をしていた」と主張していました。いまではタイムカードを導入して時間管理を行うようになっているそうです。
 日本マクドナルドでは「名ばかり管理職」の店長に残業代の支払いとして2500万を請求した裁判に「1億円払うから提訴を辞めてくれ」と持ちかけていました。「管理監督者は残業代を支払わなくてよい」と主張しながらも「裁判に負けたら全国の同様の店長さん1700人に計250億支払うハメになる」と分かっていたからです。



この遺族の方やマクドナルドの店長さんは人として扱ってほしかったから訴えたのであって、残業代が欲しかったから裁判をした訳ではありません。「人を人と思わない」所業をする企業・経営者に対して、団結して「人でありたい」と声を上げていかなければいけないと決意を新たにした記念講演でした。




     
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