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(上)消費税の問題を指摘する唐鎌先生、(中)春闘決意表明する福島・斉藤さん(写真は夕食時の歌唱披露)、(下)春闘前進へ団結ガンバロー
◆ 2012.01.26

春闘討論集会(拡大中央委員会)を京都で開催


 1月20~21日、全厚労は京都国際ホテルにて、2012年春闘討論集会(拡大中央委員会)を開催し、2012年春闘方針を決定しました。全組織から146名が参加しました。
 春闘方針では、「職場要求と運動の柱」として、①医療労働者の賃金・労働条件の向上に取り組む、②地域医療を守る(厚生連)医療労働者としての役割を果たす、③震災復興・「脱原発」、社会保障を守り、安心して暮らせる社会づくり、の3点で取り組むことを掲げています。
 とりわけ看護職を中心とした労働条件の改善については、厚生労働省の「5局長通知」の内容を活かして、夜勤交代制勤務の改善や、労働基準法を守らせること、労働安全衛生法を活用することなどを軸に、職場の要求に基づいて「切実な要求」を作り上げることが春闘の土台になります。

5局長通知活かし、夜勤交代制、労働時間等を改善

 討論では、新潟で「12月~3月を、『サービス残業改善月間』として、看護記録やサマリー作成、プリセプター、2交替夜勤時の仮眠取得ができなかった分、当直時の電話対応など、労働時間とみなされる業務や事例を具体的に明示させて、実際の労働時間をきちんと申請させる」取り組みが報告されたほか、秋田でも1ヵ月超えの連続・不払い残業撲滅デーの設定、徳島でもサービス残業根絶や居残り残業しないことに取り組むと報告されました。
 また夜勤交代制の改善では、山口が秋闘で1月からの勤務間隔12時間以上を協定したほか、「週休3日制」の導入について、山口に続いて、三重でも提案して協議を行うことと発言されました。
 福島では、震災の影響で厳しい人員不足が続く中で、看護師長会とも協議し、働きやすい職場づくり、臨時・パート、介護職などの処遇アップ、組合員拡大、JAへの加入運動、看護集会の開催、女性の権利クイズの取り組み、春闘朝ビラの配布・コンクールなど、様々な取り組みを推進して、春闘を頑張りたいとの決意表明がありました。

様々な課題に旺盛に運動を展開しよう

 集会のまとめでは、「労使合意の下で協約化して労働条件を向上できるのは、労働組合しかできない。利益を賃上げ・増員・労働条件向上で、具体的に労働者へ還元させなければならない。地域医療を守るためには、国民生活が貧困に陥っているもとで、病院にかかれないような人たちをなくすこと、貧困な社会保障、政治を変えることに取り組んでいこう。また脱原発等の課題では、地域での幅広い取り組みとともに、全厚労からもホームページでの発信も含めて、積極的に情報提供していく。労働組合の中で、本音で語り合い、労働者としての共通の課題に団結し前進しよう」と強調しました。

不況でも企業利潤が増大する構造(腐朽的な資本主義)打開へ

 1日目後半に行われた記念講演では、唐鎌直義先生(元専修大学教授)から、「税と社会保障の井一体改革」の本質と問題点について、お話いただきました。
 国民所得は、バブル期から見ても増加している(89年340兆→07年380兆)のに、生活が豊かになっていない。1兆円というのは、一人の人間が、1日100万円使ったとしても、使い切るまでに、『2739年9ヵ月』もかかるとんでもない額。労働分配率が75%から5%低下(17.5兆円の賃金下落に相当)し、それだけの富が、家計部門から企業部門へと移転している構造こそが、大王製紙の社長のカジノへの106億円もの流用・散財、オリンパスの不正経理などを生み出しているのではないか、と問われました。

消費税10%への増税で、低所得者も高所得者も、税負担率が同レベルに

 また消費税が10%に上げられた場合には、勤労者世帯(2人以上)で、年収280万の人で年間の消費税負担率(年収に占める消費税の割合)と直接税(所得税・住民税)負担率を合わせた合計の税負担率が11.19%(消費税8.08%+直接税3.91%)と、年収875万円の場合の税負担率12.28%(消費税4.98%+直接税7.30%)と、収入の多寡に関わらず、税負担率が11~13%と同じ水準になることが示されました(総務省「家計調査年報」平成21年版より計算)。
 唐鎌先生は、「年収200万円の人にとっての100円と、年収数千万を超えるような富裕層にとっての100円は、同じ100円玉でも、本当に同じ価値なのか?一方は切り詰めての100円、1食分の100円かも知れない。負担が同率だというのは、平等でも公平公正でもない。所得の再分配機能こそ、税の役割だ」と怒りを込めて訴えられました。
 と同時に、「大企業が250兆円を超える内部留保を溜め込み、労働者の賃金が下がってきたのは、『労働者が我慢してきた』からだと指摘、労働者・労働組合がもっと声を、怒りをだすべきだ」と檄(げき)を飛ばされました。




     
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