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写真上)労働科学研究所の佐々木司先生、中上)小林書記次長がパネリストとして看護師の実態を訴えた、中)医療事故リスクを数字で示す佐々木先生、中下)パネリストの皆さん、下)会場から質問が多数出された
◆ 2013.02.13

生活守れる勤務と賃金を!安全求め声を上げよう


 「夜勤は有害業務、保護と規制は当たり前を世論に」をテーマに2.6夜勤シンポジウムが行なわれ、医療・介護、交通運輸、郵便局で働く仲間270人が参加しました。

夜勤改善で安全・健康・生活の質を高める
 労働科学研究所の佐々木司先生は基調報告で安全・健康・生活の面からリスクがあると指摘されました。安全面では長時間夜勤の問題点として『患者にインシュリンを過剰投与して低血糖にしてしまう』医療事故の危険性が12時間夜勤を4連続で行った場合、1勤務目と比べて2.54倍に高まるとのデータがあります。健康面では深夜勤務を長く多くしている人は常日勤の人と比べて女性は乳がんになる確率が2.6倍も高く、男性も前立腺がんになる確率が2.77倍になるそうです。また生活面では看護師はシフトに入るに当たって睡眠時間を調整している(下表)が、既婚や子どもがいる場合、食事の準備や育児などに時間が割かれ支障がでていると述べられました。
 結論的に「人は長時間・夜勤労働する様にはできていない、夜勤をするにしてもできるだけ短時間、勤務間隔は長く、睡眠をとりやすいシフトにしていくことが夜勤の安全性、健康と生活の質を高めることになる」と話されました。

(表)3交代看護師は準夜勤務時に睡眠調整をする

ライフ

ステージ

平均値

シフト

日勤

準夜勤

深夜勤

休日

独身

7時間59

7時間10

9時間34

5時間47

8時間30

既婚(子なし)

7時間49

7時間14

8時間19

6時間18

8時間21

既婚(子あり)

6時間57

6時間55

6時間39

5時間03

7時間49

 

他産業からの報告・夜勤改善には低賃金解消が不可欠
 バスやタクシーの運転手らで作る労働組合自交総連の菊地さんは「小泉構造改革(2002年)によって規制緩和が推し進められた結果、タクシー会社が7千社から8千社へと急増し乗客の奪い合いが起こった。安全や労働者犠牲の規制緩和にストップをかけて行く必要がある」と述べられ、特に賃金の面で「乗務しないと給料が少ない『歩合制』を取っているために、生活できる賃金を求めて長時間・夜勤乗務を行ってしまう。労働時間の短縮には賃上げが欠かせない」と若い看護師さんが夜勤を率先して行っている現状に通じる報告がされました。
 郵便局の労働者で作る郵産労の白石さんは、民営化後10時間夜勤を4連続で行う勤務シフトが導入され、不調を訴えながら過酷な勤務を続け心不全で亡くなった男性や勤務明けにくも膜下出血で亡くなった女性など10年間で126人もの在職死亡者が出たこと。それらの事態に対して、裁判闘争を行いながら全国的な広がりを阻止し、逆に埼玉西や川越など配達局を中心に廃止させた経験を報告。「普通郵便を夜間に仕分けする意義は少なく、業務改善で対応ができる。廃止の経験を元に全国に広げて行きたい」と決意表明されました。

海外の事例・声を上げて運動が当たり前の世論を
 オーストラリアに20年住んで労災受給者の職場復帰支援に従事してこられた森本さんは「ニューサウスウェールズ州政府への日勤4対1(夜勤7対1)看護配置基準を求めた要求行動には施設管理者も巻き込んで190施設・7千人が参加したストライキを行なった。病院運営が国公立のオーストラリアでは管理者も看護師の労働環境に理解を持っており、交渉に応じない州政府に対して最終的に62病院500床閉鎖まで発展した」と運動の広がりを報告。「オーストラリアでは人のやりたくない仕事(時間帯・内容)には賃金を多く支払うのが当たり前。教育と看護現場が安全性を求めて声を上げるのは当たり前の世論を運動で作ってきたし、日本でも仕方ないと黙ってしまうのではなく縦のコミュニケーションをとって管理者の考え方を変えていく努力をしてほしい」と話されました。

日勤・深夜などの改善が必要
 報告後会場から多くの質問が寄せられました。2交替制が広がっている現状について、佐々木先生は「過去の勤務状況では2交替制でも仮眠が取れていたが入院日数の短縮や重症化によって条件が悪化している。3交替の日勤・深夜など圧縮勤務が過重で2交替制の方がいっぺんに夜勤をこなせて“お得”に感じさせられてしまっている。勤務間隔の規制を行なって3交替を改善することが必要」と指摘。夜勤専従の問題では「夜勤を続けて行っていくと3日目には見かけ上の『慣れ』が出てくるが5日目以降に疲労が蓄積された状態になる。人は長時間・夜勤労働する様にはできていない」と解説しました。
 最後にまとめとして医労連書記長の中野さんが「夜勤していない方々にまだ夜勤がどれだけ危険で有害か伝わりきっていない。業種を超えた共闘を行い、声を上げて行きましょう」「5局長通知などキチンと守らせていく、職場の中で生きたものにしていく取り組みを行いましょう」と訴えました。




     
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