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写真上)東芝ナノテックでたたかう青年からの告発、下)シンポジウムを真剣に聞く青年たち
◆ 2013.03.05

全労連が若者雇用シンポジウムを開催


今の世の中にひどすぎる!と怒り、諦めずにたたかおう

 2月24日、東京・湯島において全労連・就職連絡会共催の「若者の働き方・はたらかせ方を問い直すシンポジウム」が行なわれました。正規・非正規労働者、学生ら幅広い層の青年が参加しました。
 主催者あいさつとして全労連小田川事務局長は「安倍首相が業績の良い企業に労働者への還元をと要請に回ったがベースアップを考えている企業は一社もなく、経団連は業績の還元は一時金でとの考えを崩していない。労働者の6割にもなった非正規は年収120万円であり、一時金では待遇の改善にはならない」と指摘、「賃上げと雇用を安定させて、内需を拡大してこそ景気も良くなる。このシンポジウムを契機に取り組んでいこう」と訴えました。

賃金や労働条件に不満~青年アンケート
 全労連の五十嵐青年部長から「若者雇用の深刻な実態を打開するプロジェクト」について報告がありました。
 「若者の仕事と就活110番」では乱暴な解雇・雇い止めの横行、パワハラ・セクハラなどの相談が寄せられ、「青年の仕事と生活実態アンケート」の中間報告では「仕事をやめたいと思うか」の問いに「ときどき思う」39.5%、「いつも思う」10.0%と約半数が仕事をやめたいと思っているという結果です。「職場の不満」には「賃金が安い」53.1%、「人手が足りない」36.9%、「休みが少ない」30.2%と賃金や労働条件の悪さから離職につながるという状況が見えてきました。

劣悪な職場の状況を告発
 青年の実態告発として3つの発言がありました。
 東芝ナノテックで働く青年からは「不当な賃金カットや就業規則の変更に対しての団体交渉ではゼロ回答。12月に職場に監視カメラが取り付けられ、社長への不満を口にすると翌日グループ企業に出向させられるなど嫌がらせが行なわれるようになった」と劣悪な職場の状況が告発されました。
 首都圏青年ユニオンに加盟する青年は「病院の夜間受付・清掃業務において朝9時から翌9時までの24時間勤務が組まれ、学生らが働いている。年末年始になると人手が足りなくなり2日、3日と連続してシフト入りすることもあり、労働条件の改善が急務と個人加盟のユニオンに加盟した」とたたかう決意を表明しました。
 職活をしている学生からは「エントリーシート(応募用紙)に「得意な宴会芸は」などの企業とは全く関係の無い質問項目が並ぶ。就職活動として何十社と面接を受けており学生生活が成り立たない。就職のルールを確立してほしい」と訴えられました。

「お客様の笑顔」を殺し文句にするブラック企業
 シンポジウムでは3人のパネリストがそれぞれの立場から報告を行いました。
 北海道で高校の教師をされている佐藤理河さんからは「リーマンショック以降、居酒屋・携帯セールスなど、高校への求人が様変わりしてきている。20万と書かれていてもあらかじめ時間外労働が含まれていて通常にすると13万程度の年収150万で働けという求人が多い。『頑張れば正社員』『頑張れば昇給』の言葉にすがって無理をして働き、身体を壊す生徒が増えており、最初から大量に辞めることを前提とした大量雇用が増えてきている」と現状の告発がありました。
 東洋経済の記者、風間直樹さんは「居酒屋大手の社長が「お客者の笑顔見たくないのか」という殺し文句を言っていました。その企業が介護業に進出した時、労働時間増・賃金半減を「お年寄りの笑顔を」と同様の台詞で強行した。やりがいを持って踏ん張って働いている人ですからむげにはできないけれど、やりがい重視しすぎるとブラック企業にからめとられかねない」と警告しました。
 都留文科大学教授の後藤道夫さんは「非正規の労働条件を許していると、正規の労働条件も『非正規に置き換えるという圧力』によって掘り崩されていく。労働時間の多い層と少ない層の賃金が時間単価で変わらなくなってしまっていて、場合によっては逆転している現象が出ている。日本の雇用は『定年まで面倒を見る代わりに転勤など企業の裁量が強い』という終身雇用制度で来ていたが最近『首切り自由・裁量もそのまま』という無法状態になって来ている。それが正社員というものだと諦めてしまわず反撃が必要だ」と訴えました。

 後藤さんは最後のまとめとして「今の世の中ひどすぎると怒り、思わないと生き方を大きく変えることはできない。社会システムを既存のまま受け入れて自分の生き方を当てはめる情勢にはもうない」とたたかって行こうと呼びかけました。




     
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